俺、今、女子リア充2

時野マモ

いままでの「あらすじ」と登場人物紹介

<登場人物紹介>

・向ヶ丘勇

 「俺」、本物語の主人公。高校一年。重度のオタクで、その趣味に生きるのを最優先に、ボッチで構わないので心穏やかな高校生活を送りたいだけだったのに、リア充完璧美少女の喜多見美亜と入れ替わってしまったため心落ち着かぬ日々を送ることになる。そして今はさらに、過去の事件でクラスでハブられている美少女 麻生百合と入れ替わり、彼女の過去と向き合うことになる……


・喜多見美亜

 向ヶ丘勇と最初に入れ替わった文武両道な上に外見も完璧なリア充少女。ただし、実は地頭はそれほど良く無いのに詰め込みで勉強して成績を維持してたり、外見を機にするあまりダイエットも過度に走るなど、完璧な自分を演出するための危うさも目立つ。

 向ヶ丘勇となっている今は、化粧の練習のついでにやった女装が意外とうまくいったので、ネットアイドル「ゆうゆう」として踊ってみた動画を投稿するのが趣味。


・麻生百合

 おしとやかな美少女であるが、過去に彼女が起こした事件のせいでクラスのだれも近づこうとしないいない者アンタッチャブル。そんな彼女に、喜多見美亜となった「俺」向ヶ丘勇が興味をもって近づくが、それがさらなる事件を呼び、その解決の途中で今度は彼女が向ヶ丘勇と入れかわることになる。


・麻生柿生

 足に障害を持ち車椅子の麻生百合の中学生の弟。麻生百合の過去に起こした事件というのは別に真犯人がいることを「俺」向ヶ丘勇に伝える。


・生田緑

 クラスのリア充のリーダー的立場。通称女帝。頭もきれて、喜多見美亜と向ヶ丘勇の間に何か起きていることに気づいている模様。


・和泉珠琴

 クラスのリア充トップスリーの一人だが、少し自分勝手でズルいところがある。ただし周りにそれも可愛く見せてしまうのはある意味才能か。向ヶ丘勇が中に入った喜多見美亜が麻生百合と仲良くしているのに嫉妬して、麻生百合をはめようとするが失敗する。


・喜多見美唯

 喜多見美亜の妹。重度の姉ラブな中学生。麻生柿生と同じクラス。





<いままでのあらすじ>

 「俺」オタク男子の向ヶ丘勇は、ある日、女子リア充喜多見美亜と、廊下で偶然にぶつかってキスをした瞬間に入れ替り、望んでもいない女子リア充ライフを送らねばならない事になった。「俺」向ヶ丘勇はそんな事をできる男ではないのに、強制的にリア充女子ライフを送らされることになったのだった。


 「俺」は、ボッチでもよいから心穏やかに暮らしたいだけなのに、入れ替った際に自分のパソコンのハードディスクのコピーを取られた弱みもあり、それをネタに喜多見美亜に脅かされながら、無理やりに、なんとか女子リア充ライフを行っていたのだった。


 しかし、そんな苦難の中のある日、おしとやかで綺麗なのに誰も友達のいない女子、麻生百合をリア充仲間と合コンメンバーに推薦した事をとがめられた時から、微妙なバランスをなんとか保っていた、俺のリア充ライフはあっさりとおかしくなって行く。「俺」が「女子」になったついでに友達になろうとした女子、麻生百合は中学時代にクラスの花壇をスコップでめちゃくちゃに掘り返した後に「友情なんてキモイからやった」とみんなに言い放ったひどい女であったと言うのだった。それ以来、彼女はいない者アンタッチャブルとして扱われていると言うのだった。


 だが、その話を喜多見美亜から聞いても、どうしても麻生百合がその評判通りとは思えない「俺」は、彼女と仲良くなろうとして、喜多見美亜のリア充仲間と軋轢をためるのだった。昼休みはごはんを一緒に食べたり、青山に出かけて女子会をしたり、女になった「俺」はその立場を良いことに、順調に麻生百合と仲良くなっていくのだった。


 ところが、その「俺」の喜多見美亜としての行動は思わぬ波紋を呼ぶ。クラスのトップカースト仲間だった和泉珠琴が、「俺」つまり「俺」が入った喜多見美亜が麻生百合と仲良くしているのに嫉妬して、麻生百合に「ちくり」犯の汚名をきせようとした——「俺」と喜多見美亜が入れ替わりの原因と思われる「学校でのキス」を再現しようと夜の学校に忍び込んだところを隠し撮りした写真を教室に張り出し、その隠し撮りの犯人を麻生百合であると思わせようとしたのだった。そして麻生百合と(中に「俺」向ヶ丘勇の入った)喜多見美亜を引き離そうとしたのだった。


 しかし、和泉珠琴の企みは、クラスの女帝 生田緑によって見破られる。簡単な誘導尋問にひっかかった和泉珠琴はあっさりと自分がやったことを白状してしまい、「俺」喜多見美亜、そしてクラスのみんなに謝罪してそして事件は一件落着——とはならなかった。今回は無実であった麻生百合を疑ったというみんなの罪の意識、それは「麻生百合と言う疑われる存在が悪いんだ」「過去にひどいことをしたあの女が悪いんだ(疑った自分は悪く無い)」と逆に麻生百合へ反転する。彼女はますます孤立して、クラス全体の雰囲気が妙な感じになってしまうのだった。


 この状況を打開しようと「俺」はある計画を企てる。それは、実は女装して動画サイトで「ゆうゆう」として踊って有名人になっていた(向ヶ丘勇の体の)喜多見美亜の事を、公開イベントでクラスのみんなにばらして、そのインパクトでうやむやにする事だった。そして、そのイベントは成功裏に終わりクラスの雰囲気も戻りそうになったのだが、そこに来た麻生百合と「俺」はひょんな事からキスをしてしまう、「俺」はまた入れ替わってしまい、「俺」のリアルはまた別の充実に向けて動くのだった。


 麻生百合が過去に花壇をめちゃくちゃにした件は実は別に真犯人がいる。それを「俺」は麻生百合の弟の柿生くんより聞くが、麻生百合はそれを誰にも話さずに隠そうとしている。なぜ? そんな謎を抱えたまま、「俺」は麻生百合になってしまった。ならば「俺」向ヶ丘勇は、麻生百合として、その謎の中に入っていかなければならなくなって行くのだった。

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