戦闘によってのみ紡がれる三つの物語――括目せよ、兄妹の愛の物語。

三篇の短編で構成される兄妹の物語。
ガンアクションの練習用に書いたとのことであるが、練習の二文字を吹き飛ばすくらいに濃い内容の戦闘シーンが立て続けに続く。教会、街中、そして宿敵との一対一と、見どころのある美味しい部分だけを切り取りつつ、全体を読めば一つの絵が見えてくるという構成も光っていた。

多くを描かないことで物語の奥行きをもたせ、描くべくことをしっかりと描くことで物語の筋を見失うことはない。理想的な情報の取捨選択が行われているので、読者は安心して物語を楽しむことができる。

肝心の戦闘シーンだが、スピード感があり、ダイナミックさがあり、技が光っている。なによりクールである。文章を追うだけでありありと主人公が妹を守るために必死で戦っている様子が浮かび上がる。

最後の弾丸い込められた意味も巧みの一言。
短いながらも充実した時間を約束してくれるだろう。

括目せよ――

――最後の弾丸の行方を!!

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