残酷さの中に潜む美しさ

「彼女」の得体の知れなさに、読み進めるとともに恐怖を抱き、逃げ出したくなった。「かわいそう」――そのセリフは透き通った女の声で、私の耳にも聞こえるかのような錯覚を何度もおこす。
それでも私は、最後まで止まらずに読み進めた。結末の残酷さに絶望したが、その中には戦慄を覚えるほどの美しさがあった。
悲しい、けれどこんなにも美しいホラーを私は知らない。

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