「彼女」の得体の知れなさに、読み進めるとともに恐怖を抱き、逃げ出したくなった。「かわいそう」――そのセリフは透き通った女の声で、私の耳にも聞こえるかのような錯覚を何度もおこす。それでも私は、最後まで止まらずに読み進めた。結末の残酷さに絶望したが、その中には戦慄を覚えるほどの美しさがあった。悲しい、けれどこんなにも美しいホラーを私は知らない。
社会に適応し切れない青年の物語。ホラーで残酷ですが、その背景に哀しみと愛が凝縮されている物語です。青年のやり切れないほどの切なさが、文体からひしひしと伝わってきて、読んでて心が痛くなります。しかし、文章そのものはとても読みやすく美しく、すらすらと頭に入ってきます。最後は何とも言えない余韻が残る作品だと思います。
人がひたすら殺されていく話なのに、いっそ美しいとすら感じてしまうのは何故なのでしょうか。純粋で、哀れだからでしょうか。魔力がある作品だと思います。
戦慄をおぼえました読んでて震えました
先がどうなるのか分からない展開に、息苦しさを感じながら読んでいきました。しかし、最初から最後まで、引き込まれて、こういう話が読みたかったのだと思いました。 文章の表現が独特で、美しく、それによって残酷さも際立っているように感じました。ラストシーンが印象的で、頭から離れません。
澄くんの気持ちが分かるからだなあ。最後、少し安心すら感じたものなあ。でも哀しい。哀しいなあ。うつくしい作品を拝読させていただき、ありがとうございました。
可哀相な少年、美しい少女、赤い世界・・・。タグの通り残酷描写なのだが、それよりも糸生さんの「可哀相」という言葉に、ゾッとしてしまう。
注意書きにもあった通り、物語の中身はとても残酷かつ凶悪、ホラーというタグ通りのものです。しかしそこには絶世の美しさを秘めた、どこか優しく暖かいと言う感情が湧いてきそうな雰囲気すら漂っています。全く正反対の要素が同時に、しかも自然に当てはまる、圧巻の文章が創り出す作品です。
痛快無比この上ない。