この人は天才なんだなあ

他の作品(フォルカスの論理的な死)で随分真面目に感銘を受けてレビューしてしまった手前、こんな読書感想文以下の内容を書くのもあれなんですけどあえて言わせてもらいたい。

ここで執筆が止まっていて本当によかった。このネタ、この引き、もう既に完結されているんじゃないだろうか。蔵六の奇病ってタームが飛び出すあたりに強烈なセンスの迸りを感じる。人の受け取り方は自由だけど蔵六が「アートに殉じた壮絶なアーティストの生涯」とは到底感じ得なかった。いや、勿論のことだけれど日野日出志はごくごく小規模な世界観で延々と作品を作っているから確かにご本人が蔵六と自分とをパラノイアックに重ね合わせている可能性は、今言われれば確かに在ったけど少年期の自分にはただただ物悲しさしか感じなかった(同氏の『人魚』の様に)。こう能力者バトルギャグとして纏め上げられるともはや感服するしかない。

でもやっぱり続き書いてください。少なくとも読者は独りここに居ます。(2016/07/04)