「料理の皿」よりも大事なのは、「皿に乗っている料理」の方だ!

 ヒットしている異世界転生物を読んでみれば分かると思いますが、「非常に面白い」という事が共通しています。ジャンル内容以前に、著者の筆力がとても高いのです。そしてヒット作を書いている作者様に共通している事が更にあり、「異世界転生」というジャンルを非常に深く愛し、そのジャンルの真髄が何であるかという事を悟り得ている作者様がとても多い事が上げられます。

 要するにジャンルという物は、あくまでも「料理の皿」でしかなく、大事なのは「皿に乗っている料理」な訳です。皿に拘るのはいいですけど、料理を食べに来た読者というお客は、「皿を食べに来ていない」という訳ですね。

 そして腕のいい料理人(異世界転生物でヒット作を出している作者様)は、その事を熟知しています。だから皿の性質、形状を熟知して、それに合う様に美味しい料理を作ろうと人並み外れた努力と研鑽を日夜行ない続けている訳です。

 要するに「流行りのジャンルだから受けている」という視点で、異世界転生物を捉えて挑むという態度では「皿に対する愛が足りない」上に、そもそも作者本人が「料理の腕を上げよう」という意志を始めから欠落させている訳です。はっきり言って、料理を食べに来た客を馬鹿にしています。そんな料理人の作った食事なんて、誰も食べたいとは思わないでしょう。読んでもらえないのも当然な訳です。

 ジャンルは何であれ、読者の為に何が出来るか? 作者である以上、その事をまず第一に考えないといけない訳ですね。この作品はこの事を示唆してくれる、非常に素晴らしいエッセイだと思います。

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