イノセントでハードボイルドな恐竜×お仕事小説(びしょうじょも)。

「どうもこんにちは。現役女子高生兼、潮路郵便局で非常勤職員やってます三宅惹子って言います。
 ニャンコって呼んでね、にゃはは。

 えーと今日はですね、ある意味で有名な恐竜〈ブロントサウルス〉についてレクチャーします。
 かつて19世紀にかけて恐竜の化石発掘ラッシュがありました。
 でも、全身の骨が丸ごと残ったままで発見なんていうのは珍しくって、だいたいは欠けてたり、一部分だけっていうのはザラ。
 先に見つかった恐竜アパトサウルスと同じ種族って言うのが分かったのがだいぶ後で。
 で、研究員も『まあいいや』って感じで見つからなかった頭部のレプリカを、多分こんな感じ~って自作して発表しちゃったんですよ。功名心かスケジュールが押してたかどうかわかんないけど。
 まあ適当な対応だよね、そんなことしたら完全に合成獣、キメラだってのに。
 見た目もなんか、胴体が重そうで、足が短くって、尻尾は地面をひきずってるし。
 極めつけは頭がずんぐりしてて首が上を向いてる。
 これだともう未確認生物、モケーレ・ムベンベですよ。おとなし目に言っても童話とかファンタジー。
 でもこういうの結構あるんですよ。

 例を挙げると、アルカエオラプトル。

 上半身は翼が生えてて、下半身がヴェロキラプトルみたいで、獣脚類と始祖鳥の進化途中の恐竜の化石って触れ込みで。
 でも、やっぱりバレちゃうんですよ。ヒトの業の深さっていうか、愛すべき所っていうか。

 なんでこんな話してるかって言うと、ブロントサウルスを見たって言う同僚がいるんですよ。
 名前は小山内(おさない)ススム。でもけっこうフケ顔。16歳なのに(笑)。
 彼が言い張るだけなら見間違いで押し切るんですけど、私が愛して(?)やまない伊香静音(すず)ちゃんもいるって言うし。
 それに会うたび息止めちゃうほど体臭と口臭、あと態度もきっつい佐藤課長まで「いる」って言い切ってるし。
 だったら、って今度すずちゃんに無理いってでもついていって、ブロントサウルス見に行くから。
 でも、もしほんとにブロントサウルスがいたら……。

 それがいるって言うのは、ヒトの……業……?」