良質な作品でした

主人公が死ぬまで「彼女」が死んでから80余年、妻と連れ添って50年。
このことから自分が晩婚でも、長寿でもだいぶ幼い頃に「彼女」と死に別れたことになります。幼い主人公に自分自身を殺す、という選択肢があったのでしょうか?
彼女は自分自身、とも考えられます。主人公は彼女の「私以外の女を目でおっかけるな」という言葉に対して沈黙していますし。しかしそれだと彼女は何故「死んだ」のでしょうか?何故主人公はそれに気が付き、葬式をし、そして打ちひしがれたのでしょうか。さらに、一体どんな自意識があればその自分自身から死ねばいいのにと声をかけ続けられるのでしょうか?
短編ですが、考察をしながら自分自身も向き合える良質な作品でした。

その他のおすすめレビュー

きりしゅさんの他のおすすめレビュー210