不器用さにも器用さにも惹かれる

舞台となる主人公の祖国は聖なる国とされ、唯一神を崇めその化身である聖女・聖人信仰が根付いています。
にもかかわらずその聖女や聖人に対する扱いは残酷なもので、発見されたら最後大規模なイベント以外では窓のない密室に閉じ込められ、外に出ることを許されません。
この慣習は、この国の不器用な国民性を現しているように感じられました。主人公の両親や親友を始めとして、評価や愛情の表現を上手くすることができません。
その国民に対し 、聖女・聖人は「許すこと」が仕事とされます。不器用な国民の期待や羨望を一身に負うことで、その軋轢を抑える。
国民と聖女をはじめとして、この作品では多くのものが対になっています。王国と帝国、光と闇…
その対比の中で、前世の聖人と今世の聖女という二面性を持つ主人公の器用なようで不器用なところが私の心を引き付けました。

長くなりましたが、友情物語が好きな方、恋愛ものが好きな方、戦記物が好きな方、TSモノが好きな方、ファンタジーが好きな方全てにオススメできます!是非読んでください!!

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聖女転生物語