妖精は男の子と女の子の狭間で揺れ動く――自分の性を夢見ながら

ある一定の期間になるまで男の子でも女の子でもない、『幼生』という性別が存在する社会。主人公のあゆむは『幼生』だけが入る『幼生組』というクラスで、自分が男の子になるか女の子になるかを悩んでいた。

あゆむには二人の幼馴染――男の子になった光と、女の子になった紫苑がいて、二人はあゆむのことが大好き。将来自分と結婚するんだと求愛をする。そんな二人の間で揺れ動くあゆむは、なかなか自分の性を選択できずにいた。

そんなある時、同じ妖精組の相田さんから――男の子にも、女の子にもなれなかった幼生は、妖精になるんだという話を聞かされ、そして、その話の裏には、隠された真実が――


ある一定の期間まで、または異性を好きになるまで自分の性が決まっていないという設定は、一見ありがちながらもこのテーマ一本で物語を構築している作品は意外に少ない。しかし、この物語はテーマを軸に据えてしっかりとそのテーマを描き切っている。幼生と妖精をかけた設定もハマっており、丁寧な心情描写で主人公あゆむの焦りや苦悩が伝わってきた。

後半の見せ場はエモーショナルであり、ぜひとも幼生あゆむの選択を見届けてほしいと思う!

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