うさぎさんは悪くない。悩んで悩んで最善の選択をしたうさぎさん。重要なのはその選択を受け取る他のどうぶつさんたち。その選択をしたうさぎさんを認めるのか、認めないのか。
短いお話だけれども、ものすごく考えさせられる物語です。作者様のおっしゃる「うさぎさんにどうしたら良かったのか、教えてあげてください」というキャッチコピーにまた考えさせられます。「こうすればよかったんだよ」とすぐに考えを述べられる人がどのくらいいるのでしょうか。私には無理です。正解なんてあるのでしょうか。
教科書に載せませんか? これを読んでいらっしゃる教育関係の方、副教材として授業で使ってみてはどうでしょう? 小学生でも、中学生でも、高校生でも使える教材です。いい大人の私ですら、悩んでいます。
どの人の人生も選択の連続。どうぶつさんたちの人生(?)も。すべてを正解して進んでいくことなんてできない。正解のない選択もある。間違いに気づいたからといって後戻りもできない。
人生って……深いです。でもだから生きていく価値がある。どの人の人生にも。他の人が責めるべきではない。
以下、ネタバレになる可能性もありますので、未読の方は注意。
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全員(うさぎ、くま、きつね、とら)、いい人だというのはわかる。
そして、みんな自分の仕事を一生懸命やっている。ただ、うさぎさんを除いては。
きつね、とらの村長は政治家だから、きれいごとばかりではやっていけない。外圧だって、駆け引きだってあるし、嘘だって必要かもしれない。
一方、うさぎさんの仕事は、物事を見て、ちゃんと報告すること。けれど、彼はそれを怠っている(あくまでも、この作中でのこととして)。
親友のくまさんが死ぬ可能性だってあったのに……。
うさぎさんの立場になったら、自分が必ず正しいことが出来るとは言えない。けれど、うさぎさんが自分の仕事を怠ったのは事実。
きつねは間違っていたのだけれど、それは彼なりの最善を考えて行動した上での結果で、彼は仕事を怠ったのではない。(やはりあくまでも、この作中のこととして)
最後に、作者はこれは寓話だと明言しているから、うさぎとは、戦争中に大本営発表を垂れ流ししていたマスコミのことでしょう。たぶん。