読子さんがかわいい。ついでに小説もうまくなる。完璧では?

 もうそれしか言うことはないんですけど、ちょっとだけ経緯というか、俺のレビューを見てこの作品を読もうかなと思った君に、少しだけ話をしておくと、本作は同作者の「読子さんは思わせぶりに小説指南してくれる」のスピンオフ・続編ということになっている。
 で――これが誹謗中傷、にならないことを祈るのだが――もうこれは完全に単純な好みの問題として、「小説指南してくれる」で描かれた読子さんは、「いけすかねえ女」だな、と俺は思ってしまった。

 いや本当に申し訳ない。俺の心が捻じ曲がっているのと、それから、たぶん自分も物語を書いていることについて、的確な指摘になっているけどでもそういう指摘をしてくれる読子さんは「俺には」いないし、理性としてはそれを受け入れて物語を良くしていきたいとは思うが感情としては受け入れがたい(いや、俺に向けて言ってる訳ではないんだろうけど、でもまあ、自分に思い当たる節がありすぎるので刺さるよね、という)みたいなことが絡み合っていて、つまり俺が全面的に悪いし、心が弱すぎるだろと思ってもらって全然かまわない。

 でもその批判は甘んじて受け入れたうえで、とにかく俺の感想はそうだった。でも「小説指南」は勉強になるから読もうかな、と思ってちょろちょろと読んでいた。

 それで、ようやくこの作品の話になるが、読子さん超かわいいでやんの。行動だけでは分からなかった、(甘い)内心が描かれることで、なんていうか、そもそも「いけすかねえ」と思っていただけに逆に振り切れてうおおおお さっくん、殺す、爆発しろくらいになる。そのくらいかわいい。

 という訳で、この小説の楽しい読み方を提唱します。

・とにかく自分で頑張って物語を書く。なんでもいい。
・「小説指南」を読んで、胸に刺さる。読子さんいけすかねえな、と一旦なる。
・ここに辿り着く

 時間がかかりすぎることは分かるんで、普通に読んでもいいと思うんですが、いや、これを体験した後に来る読子さんパワーマジで凄いですよ。ヤバい。この後のアレとかアレとかの時の読子さんの内面を想像すると結構来ますね。フゥ~!

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