ファンタジーとゲームファンタジーを比較するのでもなく、不特定多数の作者の表現力が欠乏しているのではないかと批判を述べる作品です。私はこれを小説と言いたくもありません。
現在のファンタジー"カテゴリ"は読者の共通認識があり、その上でどのような設定を付けることが出来るか、そういった場となっています。自由に、滅多矢鱈に、独自の名称や概念を製造するものはファンタジー(カテゴリ)に含まれません。
この方の言うファンタジーとは既存の概念を全て捨てたものであり、完全オリジナルな分野になります。そのような読者への配慮も何もなく、読ませようという努力も微塵に感じない作品はそもそも人に読まれる機会もなく、広く伝わることはありません。
何せこの作品はファンタジーの基礎的な設定も明確に述べず、既存の概念を捨てろ用いるなとしか語られていません。そうすると、舞台に登場する人物や生物は独自の呼称があり、独自の生態、独自の容貌となります。少なくとも"文字"だけでは表すことは限りなく不可能に近いです。その段階でこの媒体で新たにまとめあげるものとして相応しくない歪な発想だと思います。そんなもの、あなたが脳内で好き勝手妄想すればよろしい。
何より、そのような広大な世界を一から緻密に構成し書き上げられる人、そのような面白味もなくただただ膨大な設定集を把握できる人がどれだけ居るのでしょうか。疑問に思います。
現在の在り方に疑問を呈するだけに終わり、具体的な改善策を上げることもしない不完全な批判などチラシの裏にでも書いておけ、少なくとも私はそう思い、この作品のような悪意のある捉え方を否定します。
ここまで言われても読みたいと思った方は是非読んでみてください^^作者様の面白い考えに触れることができますよ^^
昨今流行り「異世界もの」とトールキンなどに代表される「古典ファンタジー」の比較なのかと期待して読んでみたら、方向性のよく見えない批評だった。
ファンタジーの話をしているはずなのに、「歴史では」「実際には」「現実的には」と言われても、「え、何を言ってるの?」としか思えない。
作者氏の中では「ファンタジー」=「現実の中世ヨーロッパ」か何かなのだろうかと勘繰りたくもなろうというものである。
勿論、リアリティを出すために歴史や現実を反映させるのは間違っていない。しかし、それに捕らわれるのであれば、ファンタジーである必要はない。14世紀フランスを舞台にした作品でも書いていればよいのだ。
寧ろ、ウソにどれだけのリアリティを持たせられるかが書き手の腕の見せどころだろう。
そもそも、魔法や魔物が存在して神と悪魔が戦ってるような世界を、現実と同じルールで考察している時点で、前提が間違っているとしか思えない。
例えば本文中に出てくる武器屋の話一つにしても、街から街へと何日もかけて旅をする人を相手に、魔物やその他の危険から身を守るための武器や防具を売る人がいても不思議ではないと私は思う。
確かに山奥の小さな村で魔法の剣が売っていたらおかしいとは思うが、人の集まる大都市や商業都市、その周辺の街道沿いの街などならば、存在して然るべきだろう。
まさか馬車に積み荷を乗せて運ぶ商隊が、魔物や盗賊の襲撃を想定せずに丸腰で何日も旅をするとは思えない。当然それの護衛を生業とする人もいるだろうし、彼らを相手に武具を売る人がいると考えるのは「現実的」ではないのだろうか?
シナリオや演出に重きを置いた日本産コンピュータRPG(海外ではJRPGと呼称されるらしい)しか知らず、それに影響を受けた世代や作品にもの申したくなる気持ちはよくわかるのだが、どうにも論点がずれている(若しくは意図的にずらしている)ように思えた。
(ちなみに私は、本文中にも出てきた『Dungeons & Dragons』を赤箱と呼ばれる版で嗜んだ年寄りである)
気になった点を最後にもう一つ。
タイトルにも書かれ、本文中にもこれでもかと言わんばかりに出てくる「ゲームファンタジー」という言葉だが、これは一般的に使われている言葉なのだろうか?
このエッセイの根幹を成す言葉でありながら、どこにも「これこれこういう言葉ですよ」という説明や定義立てがされていないということは、そういった必要のない、読み手が共通認識として持っている言葉と思ってよいのだろうか?
残念ながら私はこの言葉を寡聞にして知らないので、おそらくこういう意味なのだろう」と類推しながら読んだので、作者氏の意図した意味と私の想像の間に乖離があったとすれば、このレビューも的外れなただのイチャモンでしかなくなってしまう。
その場合は無知無学な年寄りの戯言として容赦していただければ幸いである。
おっしゃる通りだと思いました。ファンタジーとゲームファンタジーはまったく別物ですよね。
ゲームファンタジーはRPG、オンラインその他ゲームの概念を前提に持ってきているので、「武器屋」「イベント」「チート」などという言葉が当たり前に使われて当たり前に理解されています。
一方、ファンタジーはファンタジーというそれだけで、あとは物語を作る方の知識や経験に基づく想像力なのかなと思いました。
それによりどこまでも幻想的だったり、あり得なかったり、逆にリアリティを感じさせる世界を作れるのでしょう。
どちらが良い悪いというわけではなく、ただ「ゲームファンタジー」は「ファンタジー」ジャンルの一要素ではあるけれど、その逆では決してないのですね。
個人的には、よりリアルな世界観を基盤にしたファンタジーが好みではありますが…!