何を知らなくとも現実に無い世界に憧れて

 私が最初にファンタジー世界に興味を持ったきっかけは、記憶が確かなら小学生時分に観た『シンドバッド7回目の冒険』というアメリカ映画だったと思います。

 私にとって特に印象が強かったのが、骸骨の戦士でした。肉の無い冗談みたいな簡単に折れそうな骸骨が、素晴らしい剣裁きで襲い掛かってくるのです。

 その影響はいまだに根強く、私の権限の強い作品(時々に自分で作っている実験作品のことです)において、骸骨戦士は脅威になります。作者補正ですね。

 それが竜の牙から作られた骸骨だからとか、そのような理由すら必要ありません。竜の牙とかそんな設定は私には必要ありませんし、むしろ骸骨戦士さまに失礼です。

 理解できない方法によって生み出された恐怖の骸骨戦士。

 それが彼らに対する正しい待遇なのです(立場は違えど異世界モノでもそういう設定が好まれている気がします)。

 なんだかんだでゲーム業界にいつまでも片足だけ突っ込んで働いている私ですが、設定が何より重要で、設定魔でなければならない仕事であるゲーム開発ですが、しかし、理屈はともかく設定上、骸骨戦士は強くなければなりません。

 それを知らない人が私の作るゲームで遊ぶと、それこそ骸骨恐怖症になれるほどです。洗礼です。

 骸骨戦士に限りません。更に私の作るゲームに常識も求めてはなりません。それが例え”コボルド”だとしても、”清潔でないだろうから”という理由で知らない内にシラミをばら撒いていたりするのです。これは後始末が大変です。下手をするとシラミ相手に一匹一匹サイコロをふらされますから。

 しかも、残念ながら”状態異常”をすぐに教えてあげる私でもありません。

 シラミは兎も角として、病気には潜伏期間がつき物です。ですから感染性の病気は、”どこで誰から感染したのか”が重要だったりします。分からなくても知らなくても構いませんが、興味を持ったなら調べられるべきだというのが私の信念です。さあ、足を使って聞き取り調査を頑張って下さいとセッティングする訳です。

 しかし、答えがない可能性にも気を付けるべきなのです。足取りがあるからといって答えが保障されるわけでもないのです(市場に出るゲームでは何らかの結果を示唆する必要はあります)。


 この流れ、頭から終わりに向かう間にどんどんファンタジーとは関係の無い話になっていると感じるかも知れません。

 これは私が、現実を知るほどに、知識を増やすほどに、ということなのでしょう。

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