作る人ではなく創る人を目指した
ファンタジーへの憧れから具体的な模索へ。
私がゲームを作ることのできる技術を得るころには、もう世界はすっかりコンピュータゲームの世界でした。それは当たり前で、コンピュータゲームというものを見てから、そしてそれを作る技術の勉強をし始めてから少なくとも7年は経過していたのですから。(私がプログラミングの勉強をし始めた時代というのは、本当に情報の無かった時代だったのです。それこそ他人の書いたプログラム(コメントすらない)を解析して、自分の技術にするという時代だったのです)
その頃には、ゲーム仕様も大体が落ち着いてきた時代だったので、既存の機能というか、その概念を利用するのが当たり前の時代になっていました。
既存の概念というのはとても便利なもので、例えば”武器”は、装備できて道具としても使えて攻撃にも利用できる、と。
それぞれで発現する機能が変わる。
もののイメージを方向性で分解して表現、というか説明してある。
しかも、既存のコマンドとの親和性もある。
まだ色々やれそうな余地があるのかも知れませんが、それでも色々と幅が増えていました。
そこで、どうせならと、ちょっと目線を変えて、たとえばファンタジーにおけるモンスターというものも概念の一つだと、ターゲットに据えてしまう。
この概念を知っていれば、モンスターをいとも簡単に作品に出せる、とそのとき私は単純に思ったのですが、実際どうなんだろうと、それを分解してみる私なのでした。
その行為の理由は、既存の概念に頼るとそれだけで終わってしまうからで、私はその概念を多少なりとも理解してから、それを糧に新しい何かを創りたかったのです。
さて、分解を試みる私でしたが、そもそもモンスターは敵なのだろうかというところから入って行きます。
例外として知性があればモンスターも味方になれるのだろうか、とか。
それとも知性が無くとも例外として、害が無ければ味方になれるのだろうか、とか。
少し考えてみれば、このような概念の構成要素らしきものを見いだせ、そしてそこに突破口がないかと考え続けました。
敵でしかないのか味方になり得るか、それをまず取っ払いました、というか有耶無耶にした。
残ったのは、というか現れたのは、対峙するものの命を奪いかねないなにか、でした。
これは、物でも動物でも実体の無いものでも姿のないものでも、何でも良い代物です。
結局のところ存在としては、その在り方に囚われない。
その上で、アクションを取れるもの、リアクションを取れるもの。
そう考えると、それこそ罠だってモンスターみたいなものだ、となりました。
実際、ミミックなんてそんな感じです(ミミックが逃げる犠牲者を追いかけ回すのなら話は別なのでしょうが)。
しかしそのように捉えると、それこそ表現の纏めようがないので、また付随要素を復活させてから改めて考え直します。
流れで考えるに害があるかないかは、アクションとリアクションの内容なのだろうから、まずは、
・アクションを取れるもの。
・リアクションしか取れないもの。
となるのだろうから、やはり、物なのかモンスターなのか、単なる仕掛けなのか区別できません。
となると勝手ながら、モンスターと呼ばれていたら、それがモンスターなんだろうかと自棄になります。
それこそ火打石だってモンスターであっても構わないのだろう、と。
『互いを打ち付け合うと、火花を散らすモンスターです』と言い切ってしまえば良いのでしょう。
なんていいますか、道具屋ならぬモンスター屋が生まれてもおかしくならなさそう(表現の違いでしかない)。
極端なものになれば『この宵闇の正体が視界を阻害するモンスター』なんて言ってしまえる(たとえ害がなくとも)。
そして、もはや分類に意味を見失ったアクションが主なモンスターとしても、『あの火を噴く山が我々が対峙しなければならないモンスターです』とかになってしまうのでしょう。
こうなると、世のすべての現象を、森羅万象を、モンスターとして語ることが不可能なのでしょうか。
精霊の役割を奪えそうで何よりです。いえ、この場合、精霊もモンスターで良いのでしょうか。
――モンスターはどこにでも存在している。貴方の吸うその空気すらも実はモンスターなんです。
いやいや、精霊の領分をモンスターで塗りつぶさないで……。
理詰め(??)でファンタジーを考えるのは、何かを汚しているような気がしないでもないと心の片隅で思いつつも、まさか精霊もモンスターでその逆もまた真だったとはと、驚きを隠せない自分がいました。
まあ、冗談なんですけども、このように分解してみると案外面白い発見があるかも、という程でも無いですけど、しかしゲームを作るときは、どうやら精霊とモンスターもアイテムや地形も地形効果までも、ともかく色々と下手に分けるべきではなさそうですね。
クラス設計が悩ましい。
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