飛行機を愛する者たちの美しい物語

飛行機に魅了され、飛行機を愛する老人と出会った主人公が、子供の頃の夢を追い続けて「今」に至るまでの過程が、優しく語られていきます。

少年時代の主人公を導いた老人は、物語後半で自身のことを語ります。彼が現役だった頃の時代背景が明らかになった時、主人公に夢を託した老人の思いや、老人の思いをしっかりと受け止めた主人公の決意が、実に印象深く心に迫ってきます。

かつて世界に誇る航空技術を誇った日本は、戦後、航空機産業を復活させるまでに非常に長い道のりを辿り、航空事業後発国として苦難の道を歩んだのですが、そういう歴史を鑑みながら拝読する時、この作品の美しさがますます際立って感じられます。