第7話
透き通った女が、
ああ、そうか―。
「―ああ、そうか。あの時あの場所に、アナタもいたんだよね。そして、確か今みたいに、僕のことを包んでくれた」
「・・・」
「あの少女は僕じゃなくて、アナタだった」
女はわざとらしく無表情にして、僕を正面から見つめた。
「そうね」
「そうかも知れないわね」
満開の桜が舞う―
壮絶に、全てを覆いつくしてしまうかのように
僕の苦悩も、哀しみも、記憶も、
死も、
何もかも全て
―――
「でも、ワタシは、キミよ」
うん。
無情な
無情な
僕はだんだんと女と混じり合ってゆく。響きあい、絡み合い、ひとつの物体になった。そうして何もかもを忘れ、全てが消滅した。
女は囁く。
「ありがとう」
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