負け犬のバラード カクヨムよ、名もなきワナビの唄を聞け

ニセ梶原康弘@カクヨムコン参戦

負け犬のバラード ~カクヨムよ、名もなきワナビの唄を聞け


第1回カクヨムWeb小説コンテストで目指せプロデビュー!


…そんな夢を見るオレ様のようなワナビは星の数。

だってアカウント数が一万五千って、最初見たときはどっかのイベントとかデモみたいに人数水増ししてんのか!って思ったくらいですもん。

軍隊で言えば一個師団の兵隊数、一人10円徴収したらひと財産出来るんですよ!某掲示板流に言えば「人大杉」って奴ですよ。

まともに物書きやったって、審査員とか読者の目に留まらなければ話になりません。

受賞なんてもはや宝くじに当たるような確率。


となれば、土下座でも脅迫でもして全員を辞退させ、応募が自分以外ゼロ!選択の余地なし!で受賞という流れにするしかない!

拙作「デブオタと追慕という名の歌姫」を投稿しようと準備していたオレ様は2月末の締め切りを数時間後に控え、そう考えざるを得ませんでした。

プライド?プロになるのにそんなもの何の役に立つ。犬にでも食わせろッ!


で、考えたのが投稿者たちを脅し、時には情に訴え…そして最後には「カクヨムへの投稿を皆無にして消去法的にオレ様が受賞して作家デビューだぜヒャッハー!」略して「そしてオレ様以外誰もいなくなった」作戦でした。

オレ様の計算では脅迫懇願ツィートを拡散してもらうことでカクヨムに登録されているアカウント数を5千にまで減らし、その後は1日166件のユーザーを訪ね歩いて一軒一軒「お願いします、どうか辞退して下さい」とドブ板営業して回れば、3月末に「ただ独り」状態になるはずでした。


胸算用(←後に皮算用と判明する)はありました。

何故って、このためにオレ様は今日までツイッターからたくさんの物書きの人々をフォロワーとして繋がりを作っていたのです。

今こそ皆に辞退してくれと土下座のとき!(←カッコ良さそうだがやることは土下座)


かくしてオレ様は投稿と併せて「カクヨムへ投稿している物書きの皆さんへ…オレ様から一生のお願いがあります!お詫びに5円チョコあげますから生命が惜しかったら応募を取り消せ下さい!いいな、わかったな、お願いです、どうかどうか辞退して下さい。右を向いては拝み左を向いてはひれ伏しております。辞退して下され、辞退して下され、一生の頼みでありまする」という、土下座してんだか脅迫してんだか懇願してんだか、あと野口英世の母親に土下座して謝れ的な名文(←?)を書き上げて固定ツィートにしました 。

画像も付けました(↓こんなの)

https://pbs.twimg.com/media/CcS5Os6UAAAgU1a.jpg


さぁ、この浅ましい泣き脅しがオレ様の「いくさ旗」だ!


ツィート後からさっそく、心ある人々(…とオレ様はその時は思った)が、この外道つぶやきをリツィートしてくれ、イイネもつきはじめました。よぉーし、いいぞぉいいぞぉ!

オレ様はこの勢いで拡散してゆき、カクヨムのアカウント数は潮を引くように減ってゆくだろうとほくそ笑んでいたのですが…

ところが、いつまでたっても「カクヨム辞退しました」という申告ひとつ入って来ない!

カクヨムのアカウント数も減るどころか…増えてく一方だ!


「どうしたんだ、話が違うじゃないか!(←誰も最初からそんな話など承知していない)」


オレ様愕然!

それどころか「選考中止!」「受賞該当なし!」という非情なレスばかりが相次ぎ、オレ様のガラスのハートを粉々にしてゆきます。

もうやめて!かじぃのHPは0よ!(←自業自得だろ)


「貴様ら、裏切ったなァァー!」


テーブルをバンバン叩き、無情なワナビの仕打ちにオレ様は「お前たちは人として恥ずかしくないのか!」(←お前が言うな)と、うぉーん泣き


もちろん、こんなおバカやってる奴のところに評価の星ひとつもらえるハズがなく…

気になってこっそり覗いたプロ作家の知り合いの作品には早くも評価が付きはじめています。ちくしょう、やっぱりプロ作家は格が違う、何もしなくても目を付けられるんだなぁ…

片方の作家さんなんか10万字超えの作品ふたつも投稿してるし、オレ様腹が立つやら感嘆するやら…悔しい悔しい、キーッ!

結局カクヨムの作家陣は1万5千を遥かに越え…いまだにほとんど1分毎に新作が投稿されているという凄まじい状況。

オレ様は絶望的な目で見守るしかありませんでした。


結局…オレ様の必死の政治工作など「微塵も」影響なく、蟷螂の斧どころかミジンコの腕掻きのような抵抗にしか過ぎませんでしたぁぁぁ!(滝涙)

どれほど虚しい抵抗だったかというと…カクヨムの利用規定にはこんな条項があります。


第5条(利用の制限)

当社は、以下の各号のいずれかに該当する場合は、当社の判断によって、利用者の利用を制限したり、アクセスを遮断したりする場合があります

3.スパム行為や嫌がらせ行為など、本規約第13条(禁止事項)で定める禁止行為があった場合


しかし、オレ様のアカウントが削除されたり閲覧が禁止されるなどのペナルティは一切なく、それどころか警告とか厳重注意のメールすら来てくれません。(←来てほしかったのか?)


…つまるところ、オレ様の作戦はカクヨム運営には「まったく」痛痒がないばかりか、禁止行為として抵触すると「さえ」見なしてもらえなかったのです!

ひどい、あんまりだ!(←もはや、ただの構ってちゃん)


「もうだめだー」


さんざん泣いたりわめいたり踊ったり転がったり…ひとりで大騒ぎした挙句打ちひしがれたオレ様はツィッターに「お前たちの勝ちだ…」と敗北宣言し(←誰もお前と戦ってなんかいない)カクヨムのアカウントを削除しようと思いました。


そんなこんなでダダを捏ねているオレ様のところへ電話がかかってきました。


「おぅ、カクヨムに投稿するってツイッター見てな。いま検索で探してるんだが見つからねえ。ペンネームを教えてくれよ」


もう消しますとは怖くて言えず、蚊の鳴くような声でココデスと教えたら電話の後すぐにメールを寄越してきました。


「バカ騒ぎしてるからどんなダメ小説書いたのかと思ったら真面目に書いてるじゃん、面白いじゃん」

「ありがとうございます。でも投稿が多すぎて完全に埋もれてしまいまして…政治工作も完全に失敗したので撤退しようかと…」

「辞退してくれとかいう、あのバカ看板外して普通に宣伝やれよ。かじぃさんのツィートって、ダダ捏ねてるかイジけてるかワルさしてるか、どれかしかないじゃん」


……ぐえあ。つーか、その通りでぐうの音も出ない。


で、でも今さら照れくさいな…とかホザいてたら追撃が来ました「さっさとやれ!」


そんなこんなで一念発起して投稿を開始した作品はその後たくさんの温かい好評をいただきました!

しかし、狂喜した一方で政治工作の方はすっかりアテがハズれてしまったオレ様。

さらにオレ様を落胆させるニュースが飛び込んできました。


カクヨム、半月経たずに撃沈一歩手前っぽくなってる件

http://anond.hatelabo.jp/20160311120400


つまり、要約するとこうです。フォロ爆とか★爆とかいう義理人情を利用したテクニックでフォロー数とか評価を上げ、ランキング上位に入って注目を集める。そこで更に評価や閲覧を集めるって戦法。

また、相互フォローみたいなサークルを作って評価を互いに上げれば、それだけでも芋洗いの樽の中状態から一歩抜け出して注目を集めることが出来る。

明らかにやり過ぎたものはペナルティを受けたようですが、そうでないものは違法とまではいかないのでカクヨムの運営もどこで線引きすればいいのか苦慮している様子で曖昧な対応しか出来ない様子。

結局、やったもん勝ちってことか。そういうことかぁぁー!


他にも「小説家になろう」サイトでも有名な作家さん達は、ここに転載するとファンの人たちが評価をいっぱい付けてくれるので、労せずして他の作家より抜きんでた存在として注目を浴びる恩恵を受けられます。

と、いってもファン付きでなろうサイトからやって来た人気作家の人々はその実力ゆえのアドバンテージだから、何も恥ずべきことはありません。無名のオレ様は悔しくも文句のつけようがない。


しかし、あまりにも作家や投稿作品数が多く、アドバンテージを持っていない人は懸命に作品を書いても砂漠の砂一粒みたいに埋もれてしまう。

そんな厳しい現状にオレ様同様、ガッカリしたり腐ったりしてる人も多いはずです。


だけど、ズル賢く立ち回って評価を集めてランキングに乗って、閲覧の機会を掴んで成功する(もちろん、現在ランキングされてるのが誰も彼もそういう姑息な人たちってことじゃありませんが)のは、グレーだけど通用するっていう現状を見てて、やり切れなくなりました。

結局そういう「裏工作の巧みな人たちが勝ち上がるヒエラルキー」が、ここでも既に出来上がってて、オレ様みたいなポッと出の奴が、正当で温かい評価をいただいたところで入り込む隙間なんか欠片もねーよってことなんでしょうか…


何が悔しくてたまらないかって、オレ様の拙作にこんなにもありがたい評価をいただいて涙が出そうなくらい嬉しいのに、結果としてそんな評価を蔑ろにされても仕方ないと諦めるしかないことなのです。


くっそー。こうなったら徹底抗戦だ。こんな奴等に膝を屈するくらいならケツにフリスク突っ込まれた方がまだマシだ!

だが、さすがのオレ様も卑怯な手段で評価を増やしたくないと思いました。それは、拙作を心から評価して★を下さった方々への冒涜になるからです。こればかりは絶対にしてはいけない。

やるなら正々堂々とライバルを呪ったり嫌がらせしたり(←日本語間違ってます)しなくてはオレ様の男がすたるってもんですッ


執筆中の投稿作の続きを書かなきゃいけないんですが、もうそれどころじゃない!と、頭に来たオレ様は一旦ペンを置いて、ない知恵を絞り、必死に考えました。

で、いいこと思いついた。


「カクヨムX」(←マルコムXか)とか「真・カクヨム」とかダミーサイト作って「カクヨムは移転しました!」とホラ貝を吹くのです!

そして全ユーザーを移動させれば、今度こそ消去法で受賞プロデビューの夢は実現出来る!


これだぁぁぁっ!


オレ様は早速、この姑息な移転作戦をノアの箱舟ならぬ「ノアの嘘舟計画」と名付け、取り組み始めました。


が…

知り合いのSEにメールを送り、かくかくしかじかと相談し「さっそく、ツイッターで自慢したよ。カクヨム運営の連中も今頃オレ様をスルーしたことを後悔してるに違いないだろ。もうすぐ謝罪メールが届くに違いない。クックックッ」と悦に浸っていると

「なぁ、その作戦ツイッターで書いた時点でバレて破たんしてね?」

「あっ!」


自爆!そして、終了ー!

かくして、出港する前にノアの嘘舟は見事に自沈したのでした…


ガックリしてしょげ返ったオレ様は「何かいい策はないか、何か…」と力なくつぶやきながら立ち上がり、「この踊りを…オレ様と同じカクヨムの無名作家の同志たちに捧げます」と、ヨロヨロ踊り始めました。



「負け犬のバラード」


雨上がりに虹がかかるように

いつか落選の悔し涙が報われると思ってた

プロ作家へ這い上がる日夢見てた、ルルル…

だが、それは目覚めぬ惨めな白昼夢


ここは有象無象ひしめくワナビ達の巣窟カクヨム

夢の切符を掴むのは一握りにも満たぬ者たち


無間地獄にあがく者たちの怨嗟の声が

ああ、今日もネットに木霊する


罪深きカドカワを呪う者たちの踊りが

おお、今日も虚空に乱舞する


創作で競えぬ惨めな者共が密議を醸し

誹謗と密告に今日も精を出す


ああ、地獄へ引きずり込みあう愚者達

得るものなき血みどろの夜明けに

歌え、悪魔の褒め歌を ワナビのバラードを




※注釈

当初、ここには当時オレ様が惨めな気持ちに駆られて踊った「負け犬のブルース」という舞踏曲の歌詞を掲載していたのですが、「うわぁぁこれはアウトですってばぁ!」とカクヨム編集部から直せ直せ怒られちゃいました。

ちぇっ、ちょっとぐらいいーじゃん、けちーけちー(←子供かよ。つーかダメなものはダメですッ!)


で、しぶしぶ更にオリジナティあふれる歌詞に替えてみました。

負け犬のブルースが変わったところで、ワナビのみじめさというクオリティにさほど磨きがかかったようには、思えないんだがなぁ……(←そういう問題じゃねーだろ)

とりあえずバラード調に仕上げてみました、ルルルゥ~♪

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