概要
芽吹いたばかりの早蕨を見たことがあるか?瑞々しくて、美しいのだ。
万葉の昔。
歌詠みの才に恵まれた皇子と、豪族の息子が出逢い、惹かれ合う。
政争を背景にした、彼らの想いの行く末と結末。
歌詠みの才に恵まれた皇子と、豪族の息子が出逢い、惹かれ合う。
政争を背景にした、彼らの想いの行く末と結末。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!心だけはどんな時代をも覆うことなく気高かった。
万葉の時代。あの歌詠みの頃。
兄弟も親子も争いの渦の中に置かれ
誰もが裏切りに疑心暗鬼となる、悲しく美しき時。
中大兄皇子という偉大な父を持ち、時代に翻弄される若者がいた。
志貴皇子。第七皇子ゆえ、自由に見えた彼の行末。
彼を慕う豪族の雄高との、わずかに心通わせる時間。
片耳に下がる翡翠の勾玉は
高貴で美しき新緑の色となり、雄高の心を捉えていく。
芽吹いたばかりの早蕨を、私も愛でてみたいものだ。
二人が語り合った山野は
果たして何度、四季を繰り返しているだろう
今もそこに似合った色が漂っているだろうか。
作品が落としていった水紋を
幾つ拾い集めたなら、その思いに辿り着けるだろうか。