カク/ヨムしているのは本当に人間か?

ネット版『夢を売る男』。

星新一賞の選考を通る小説を書くAIや、ヒトラーを称賛して嘴にガムテープを貼られたりするAIが居る今日、世間の目をくらますだけなら人間の手を動かす必要はありませんよ、というお話。
国民の5割がディープラーニングの脅威に脅かされつつある現代、虚構と言い捨てきれないイヤなアイデアがある程度の説得力で頭にすり込まれてしまう。

良質なコンテンツよりもアクティブなユーザー数の方がサイトの広告収入にとって本当に重要であるのかどうか不勉強にして分からないが、書店の本の腰巻きに書くことが「X万部突破」とか「X万PVを記録」なんていうことしかないような現状では、やっぱり「数」がなによりも先ず力なのかしらんと項垂れざるを得ない。(何しろこの作品が私の目にとまったのもやっぱり数の力だし)

ただし、滞在時間と評価数が相関するのか、とか、無料で10万字以上小説を書くような人間が「認めて欲しい」なんていう可憐な理由だけで小説をUPしたりするかしらん。物書きはもっと悪質で傲慢なものだと思うけど…なーんて言ってるもちろん僕も人間とは限りませんけどね。

冒頭『夢を売る男』同様、物を書くとは自分にとって何かを再考するには良いビタミン剤。

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