数学オタクの男子大学生・本条圭介が、「グレブナー基底」に興味を持った女子高生の妹・環奈に数学を教えたことをきっかけに展開されていく数学の世界に引き込まれました。
「グレブナー基底」とは、とてつもなく簡単に言えば「連立方程式の解を求めるアルゴリズム」で、一般人には聞き覚えがないどころか、まず一生関わることがない用語ですが、これが実に興味深い。
「そもそも数とは何か?」から始まり、中学校で習う連立方程式がなんの役に立つのかという疑問に、「嘘つき問題」や「山崩し」など、誰もが子供の頃に一度は遊んだことがあるような論理パズルを持ち出して、連立方程式を利用してパズルを解いていく解説に目からウロコが落ちました。
可愛い妹や巨乳の幼馴染、さらには全国の数学科学生を統べる数連合会長まで登場して、妹を巡って命を賭けた数学バトルが勃発していくのですが、えーと、これなんの話でしたっけ?
と、とにかくグレブナー基底すごいぞ、えらいぞ! これは絶対流行るな!
興味を持って一歩踏み込めば、新しい世界に出会える。知的好奇心を揺さぶる感動と興奮を味わいました。
(正月事始め4選/文=愛咲優詩)
いや分かってねえだろお前は、と思うかも知んないけどちょっと待ってくれ。話をまず聞いて。いや、俺の話は聞かなくてもいい。読め。
情緒が安定していなさすぎるが、ちょっととりあえずどうしよっかなーと思ってる人に向けて解説というか、面白いところを話す。
これを読んでもグレブナー基底のことは分からない。分からないのよ。なんかよくわからん関数だということしか分からない。それはもちろん俺がアホだからであるが、世の中には俺程度のアホは沢山いる。
でだから、結果だけでなく理屈、なぜその解が出るのかの説明、関数の中身そのものの話をして欲しいなーなんてなことをずっと漫然と思ってた。
しかし最新章:数戟編を読んで俺は慄然と悟った。そっかなるほど。これは要するに異能なのだ。そう思えばいい。
考えてみたら関数の中身なんて知ってもいいことひとつもない。いやひとつもなかぁないけど、そもそもそういう面倒なことを排除するために関数があるわけで、それを利用して便利な結果を齎せばいい。
ようするに超能力なんである。そう思えばいい、というかそう思うことにした。
超能力、の原理とか効果を理屈で理解しようとするとわけわかんないことになり、たとえばザ・ワールドが時を停める範囲は宇宙全体なのか、まあそりゃあそうなんだろうけども、したら効果範囲:SSSSSSみたいなことになんだろ無理じゃね? みたいな虚無が発生してしまうが、うるせー停まるんだよとにかく時が、で納得してしまえばお話そのものは面白いじゃあないですか。そんな感じっていうか、そんな感じではないんだろうけど俺の中ではそんな感じ。
突然異能が発動したところで鼻水を吹いてしまい、目の前の紙の類がダメージを受ける事態が発生して、ここまでやられたらレビュー書かねばならんなと思って書いてます。文系のアホでも笑えるので、賢い君ならきっともっと面白い。読みましょう。
この小説は、英語でも、中国語でもなければドイツ語でもない。フランス語やイタリア語、韓国語や、ラテン語でもない。
当然、ロシア語でもないし、ポルトガル語でもない、そして、スペイン語でもないのだ。
この小説を構成する言語の名は。
数学語という。
誰もが気付いていない。
こと数学分野においては普通の学問の専門用語レベルではないということを。
一見、普通の言葉と見分けがつかない特徴を持つこの言語。
話者は無意識的に用いて解説を行う。
英語で日本のふるさとの歌詞を解説されてもわからない。
しかし、安心してほしい。
この小説には確かに数学語を用いているが、十分な日本語による解説がセットでついてくる。
有名なラテン語には、こうある。
Disce libens.
意味は、学びを楽しめ。
これを読む人たちがそうあることを願っている。