切なく甘く、美しい。心が深く引き込まれるハイファンタジー

 人や妖魔の、様々な「愛」が絡み合う群像劇。言葉のひとつひとつを噛みしめるようにじっくりと味わいたい作品です。

 丁寧に練り上げられた言葉によって紡ぎ出された物語は、華麗で重厚、なのに読みやすい。読み始めると一気にその緻密で美しい世界に引き込まれ、画面を閉じた後もしばらくは、どっしりとした充実感に浸ってしまいます。

 傭兵のシグリドと治癒師のファランの恋が軸となって物語は進みますが、彼らは勿論、取り巻くすべての者の人生に、想いに、奥行きがあります。
 彼らの人生や、心に抱く想いは、必ずしも幸せに満ちたものではありません。ですが、ダークな世界の中にあるほのかなともしびが、読後、不思議なあたたかさに包んでくれます。

 ジャンルは「異世界ファンタジー」となっていますが、甘い「恋愛」作品でもあります。
 どちらがお好きな方でも。



 心の中に残る、切なく悲しいのに甘くあたたかな余韻を、今でも味わっています。

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