百合の香りがする。青い蝶が見える。何度でも、何度でも。

 幻想的で叙情的な言葉選びと物語の構成に溜め息が出た。なんどもなんども読み返してもきっと満足しきらない、優しくて、泣きたくて、綺麗で静かな物語がそこにはずっと揺蕩っている。「END」と終わりを提示されたのにも関わらず、まだ文字の中に物語は残っているのだと感じる。
 少年は、蝶を頬に滑らせ、夢を作る。雨粒越しに、少年は苦しむ誰かの夢を見る。「銀の夢喰い、いつ見ても綺麗だね」――その言葉の余韻を、このレビューを見るあなたにも知ってほしいから。

 この物語、いつ見ても素敵だね。
 綺麗だね。