極限の空腹時に食べた、あの味が忘れられない……。玉子をかけただけなのに

　最近の若いもんの軟弱さはなんだ！

　こんな文句から始まる、この現代ドラマがおもしろい！
　物語は、この主人公が滞在する会社の一部署を舞台に始まる。社員たちが挙って、体調不良を訴えるのだ。
　しかし、それを問い詰めるわけにはいかない。『世間じゃ何かと、パワハラだのブラック企業だの言う言葉が流行っているから下手なことは喋れない』のだと言う。

　他の部署に顔を出し、そこで、原因が主人公にあったことに気づく。
　そして、社員のストレス軽減のために、主人公は会社を休むことを決断。なかなか潔い社長である。

　その社長が、一週間の旅行に出た初日、宿泊先に辿りつけない、不測の事態が起こる。

　漸く、泊まれる場所を見つけるが、夕飯までは食べられず、一晩を空腹と戦いながらすごすのだ。
　翌日、出された、玉子かけ御飯が、とても美味しかった……というお話。

　騙されたつもりで最後まで読んでほしい。生玉子には、あるモノが存在するのだよ！

　この、あるモノと戦う社長の、最後の決意が、また潔い。