欲しい物は今買え! 次に来て売り切れだったらどうするんだ!
- ★★★ Excellent!!!
人間、買わなかった物に対しては酷く後悔しますが、買ってしまった物に対しては不思議と後悔しません。たとえそれがどんな高価なものであっても……
さて、本作は男性には少々取っ付くにくいかのように思われがちですが、じつはそんなことはありません。
普通に読めます。そして面白い。気がつけば世界観に引きずり込まれていく。
特にドレスの描写がすばらしく、まるで実物を手にとっているかのような錯覚までも覚えるほど。
これはもう、愛ですね。好きな物を詳しく書いちゃう。愛なら仕方ない。
ほとんどの登場人物が愛用のドールを抱えており、そのドールにも名前があるので、文章だけだと多少混乱してしまうかもしれません。
しかし、そこに重要な作品の肝があり、決して省略できない要素です。一度読んで終わりではなく、何度も読み返してみるのが良いでしょう。
しかも、それが飽きない。伏線が随所に散りばめられ、一つ一つが一見無関係に思えても、最終的に一つの大きな謎に繋がっていく。
アイツの正体がアレとは、さすがに誰も予想できないでしょう。しかも、そこに説得力というものがある。行動の理由に納得がいくのです。
そうか、だったら仕方ないな、とつい思ってしまうのです。その是非はともかく。
そしてヒロインが強い。決して守られるだけのお姫様ではない、自立した女性として描かれています。
それにしても強い。ヒロイン無しではお店の経営がヤバイ程度には強い。寿退社は認められない。もっとも、本人は望まないでしょうけどね。
乙女向けとありますが、乙女でなくても何らかの趣味に打ち込んでいる方は、特に楽しめます。