圧倒的『可愛い』の洪水。

身悶えするほど可愛くて、とにかく面白い!
地球と火星の差異(重力であったり法整備であったり)や人間の定義、生まれの違いといったハードSF的要素がみっしり詰まった、読み応えのある一作です。
無論ただただハードなわけではなく、登場人物の会話を通して語られるのは優しさや互いへの愛、喪失の寂しさ……そういった情緒的なものです。それをいっそ暴力的なまでの『可愛さ』が押し流していく。そう、とても可愛いです。これは並大抵の可愛さではありません、例えるならば濃縮された可愛いという感情を無希釈で直接脳に流し込むような、暴挙ともいえる可愛さです(褒めています)。ああ、可愛い。

お話のつくりは非常に美しく、読みやすい語り口なのも相まって、完成された美を感じられます! 大変に素晴らしいので是非読んでみてください。