薄氷のように脆く、針のように繊細、温かみもなくもつれた糸のような少女達の関係性は、幼さという狭い世界の中で、憐れで惨めで、だからこそ健気に思える。
過去、互いの心にしこりとなる種を植え付けた者同士が、四季を巡り芽生えた根と蔦によって絡め取られていくかのような物語。
女性読者にとって、この描かれる心理描写は目を背けながらも頷かざるをえない共感を呼ぶはずだ。
共に絡み合いながらでないと、幸せという光に届かない、咲くことの出来ない醜い美しさは愛おしく、手折りたいとさえ思わせてくれる。
幸せを分かち合うことは出来るのか、その幸せに総量はあるのか。
或いは側にいなければ、もっとマシな人生を歩めたのか。
社会に出れば? 大人になれば?
おそらくそれは無理であろうし、自分に欠けた何かを埋め合わせる誰かを他に求めていくだろう。
純白の人生に落とされた一点の染み、完璧とは言えない彼女たちの、だからこそ幸せを私も願わずにはいられないのである。