絶妙なバランス感覚のある文体

耽美で幻想的でありながらも、読みにくいというほどゴテゴテとはしておらず、スッキリとしていて清潔で綺麗な、雰囲気のあるライトな文体。
この絶妙なバランス感覚故に、描写されているのは粘性のある場面なのに、不思議とサラリと気持ちよく脳に入ってきてしまう。
その感覚が、各掌編に共通する「意志とは裏腹に溺れていく」といったテーマに繋がっていて、脳の裏側をくすぐられるような奇妙な感覚を味わうことができる。