倒錯おとぎ話

第20話 オレオレ山羊

お父さんヤギが子ヤギたちに言いました。

父ヤギ「出かけてくるけれど、狼に家を開けてはダメだよ」

子ヤギ「はあい！」

　お父さんヤギが出かけると、そこに狼がやってきます。

　狼は賢く、チョークでヤギに声を似せ、腕には粉をつけ偽装をしていました。

狼「もしもし、オレだよ俺俺」

子ヤギ「その声、お父さん？」

狼「そうだよ、開けておくれ」

　まんまと騙された子ヤギたちは、ドアを開けてしまいます。

狼「バカなガキどもだぜ！　いっただきまーす！」

　跳びかかる狼。

　しかし、狼は先ほど出ていったはずのお父さんヤギに押さえつけられ、森の警察につきだされてしまいました。

　全てが罠だったと悟った狼は、うつむいて呟きました。

狼「まさかカラ出張だったとは……白い毛の下はなんてブラックなんだ」