小さな魔女と迷子の少年

ある港町に、子どもにしか見ることのできない、見習い魔女のルチが暮らしていました。
ある日、波止場で海を見つめる少年と出会います。
少年はルチに「願いを叶えて欲しい」と頼みます。
見習い魔女に出来ることはとても少なく、また少年の願いは、今のルチでは難しいものでした。
少年の願いを叶えるには魔女にならねばならず、また、ルチが魔女になるには「子どもの願い」を叶えなくてはなりません。
悲しむルチに、少年は「だったら自分が一人前になれるよう、手伝って欲しい」と頼みます。

少年が一人前になれるよう、ルチは自分の出来る限りのことをします。
少年の成長に伴い、彼の瞳からは、ルチの姿が見えなくなりつつありましたが、ささやかな痕跡を、彼は見つけ、そして寄り添いあいながら暮らしてきました。

少年は大人になり、…続きを読む