こんにちは、結愛りりすです。
競馬回が続いているので、競馬話をもう一つ。
遊牧民族国家の歴史があるモンゴルにも当然競馬はあります。ですが、モンゴルの競馬は儀礼的要素が非常に強いものです。
かつては土地神祭である「オボーの祭り」や「馬乳酒(クミス)祭り」でも競馬が行われて来ました。
元々儀礼の場で行われるのが競馬だったのですね。
現在のモンゴルで最も大規模に開かれる競馬の一つが「ナーダム祭」の競馬です。
ナーダム祭とは革命記念日である7月11日から数日間行われるもので、1921年から行われています。
オボーの祭りなどは信仰に結びついた民族の祭りという色が強いのに対し、ナーダム祭はオリンピックのような国家プロジェクトによるスポーツの祭典という色がとても強いので、祭りの方向性はかなり異なります。
しかしそんな「スポーツの祭典」に行われる競馬でも、モンゴルの人々は神性を見出しています。
例えばナーダム祭で走る競走馬が亡くなると「オボー」という信仰対象の塚に葬られますし、競走馬の鞍などの道具を跨ぐことは禁じられています。5歳馬(ソヨーロン)がレース中にたてた砂埃を被ると1年幸福が約束されると言われていますし、同じく5歳馬の優勝馬の汗は舐めたり体につけたりすることでやはり1年の幸福が約束されると信じられています。
いかに馬がモンゴルの人々にとって神性をもったものかが分かるエピソードですよね。
競走馬の調教も一味違います。
1年の大半を馬の群れに混ぜて放牧して育てます。これにより馬の「野生化」を促すのです。
こうすることにより、めちゃくちゃ荒々しい性格になり、人を寄せつけなくなるそうです。
そして6歳以上の馬はレース22日前に、それより若い馬はレース18〜19日前に捕獲し、再調教するそうです。
この再調教が大変で、轡をはめるとなれば馬と格闘状態になるそうです。
屈強な男が耳を掴み、その後、脚を捕まえ、馬に引き摺られながらも地面に押さえつけてはめるとか。
この技術は「ホルドジ・トンゴロホ」と言い、モンゴル相撲の技にもあるそうです。
馬に乗る技術と相撲の技術が同じ線上にあるのが面白いところですよね。
まぁ、こんな芸当、ルノルノには無理だな…。
「風塵の碑」
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https://kakuyomu.jp/works/16817330667405923497