第3話あとがき

今週もお読みいただきありがとうございました!!

南城がもともと最初からステラではない、後からたまたまなっちゃうってのは元から設定として決まっていたことではあったんですが、企画段階では南城実はめちゃくちゃ若者ライクなやる気のないやつで、ステラも渋々やらされるみたいな設定でした。
それをこのクソマジメキャラとして着地させようと思った時に、キーとなったのは「仕事への責任」「蟹穴主義」でした。

責任ってのは基本的に個人がどんなヘマをしようと悪意がなければ会社が最終的には被ってくれるもんですが、そうは言っても使命を全うする気概みたいのは求められてくるものですよね。
もう少し先の話で、仕事や責任を「謳歌する」という言い回しが出てくるのですが、それがこの手の問題に対する最大のソリューションだと思っています。はい。今軽くフライングです。ネタバレ。
仕事に人生を決める権利はないとウルトラマンタイガでも言っているように、どんなに大きな仕事をしていたってそこに時間もエネルギーも全て投げ打つ必要なんてなくて。
与えられた役割と環境の中で、自分の力を発揮したり、それによって生まれる誰かの幸せを喜ぶ。これが本作のテーマである「働く人は皆ヒーローである」の根幹にあるものであり、仕事を謳歌するということの意味だと思っています。

であればこそ南城は、倉敷から押し付けられるのではなく(倉敷もそういうキャラじゃない、現代の仕事と人間の距離感みたいなものへの理解が一応ある人間ですしね)、悩む権利と時間を与えられよくよく悩んだ挙句自分自身の言葉で出した結論を伝えます。

そして新キャラ、高槻と根室の登場も。
高槻はカラッと明るいオネーチャン、根室は気弱だけど誠実な最年少メンバー。「ゴーバス」でいうところの森下仲村ペアを重ねて用意したキャラですが、丸かぶりでは面白くないのであえて男女のパワーバランスを逆転させてみました。でも高槻はプロレスオタクとかじゃないんで安心してくださいね。

そして今回はアキさんこと対馬が珍しくまともなことを言っていました。
その中にあったのがさっきあげたキーのうちのひとつ「蟹穴主義」。
かの渋沢栄一が自著『論語と算盤』のなかに残した言葉と言われていますが、
「余り進むことばかり知って分を守ることを知らぬと、飛んだ問違を惹き起こすことがある」から、
「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」のと同様に、オマエの身の丈にあった生き方をしろよな、ということらしく。

僕も好きな言葉でして、是非どこかに入れたいと思った結果、こんなド序盤に入ってしまいました。

アキさんが『論語〜』を読んでいるとはとても考えにくいですが、自分が南城にしたように昔先輩にでも聞かされてたんですかねえ。
しかし、付き合いの長いアキさんだからこそ彼のわだかまりに触れることが出来たわけで、わけのわからんおっさんでしかなかった彼に花を持たせることが出来たのは良かったかなと思います。

傍らで根室も同じように自分のパーソナリティに問題を抱えていたわけですが、こちらは一本の原稿の中で早速、登場早々に解決の糸口を見出してしまいました……急ぎすぎましたかねえ。
でも南城と一緒のタイミングで悩みをフォーカスし、お互いがお互いにも発破を掛け合う部分もあって、すごくその意味はあったんじゃないかなとは思いますが。うーん、読み方次第ですね。

敵のことも少し明らかに。
市民にこっそり売られている魔のデバイス「ルナローブ」そして開発しているのが「ヴォーグ社」。
ルナはLunaなのかLunaticなのかみたいな書き方しましたが実際は特に決めておらず、あーそういえばどっちとも取れるなと思って書きました。
ステラがあくまでスーツであることに退避してローブ(外套)にしてみたり、社名にVOGUEとつけてみたり色々遊んでみましたよ。

今回は戦闘一切なしでしたが、戦いはこれから激化の一途を辿ります。
来週もよろしければ!!



さて、前回言い残した「登場人物たちの命名法則」。
こちら、苗字は日本の地名を各地方からひとつずつ取り(全国全地方分ありますよ)、名前は海外の人でも発音できるようなものにしています。

南城……沖縄県南城市
李人……Licht(ドイツ語で光などの意味)

対馬……長崎県対馬市
晶………AKIRA(アニメが有名だよねえ)

葛飾……東京都葛飾区
廉………Ren(英氏名)

他のキャラクターについても是非みてみてくださいね。


次回からは本作のキーアイテム、ウェアラブルデバイスシリーズ「IPSuM」についてちょっとずつ解説していきたいと思います。

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