今の職場、僕よりも一回り若い先輩がそれなり居るのですが、その内の一人が昨夜、救急車で運ばれ入院しました。
喋り方とか喋る内容が結構乱暴な奴なんですが、それでも仕事の事でしつこく質問する僕にキチンと言うべき事を教えてくれた良き同僚です。
んで、今病院から帰って来たんですが、なんつーのかな? 生活習慣病を甘く見ている様子。
そう、僕よりも一回り若いのに、生活習慣病。
どうやら今回のとは関係ない検査などでも幾つか引っ掛かっているらしいっす。
そいつの見た目は……デブです。
病気のせいで太っているとかじゃなくて、シンプルに暴飲暴食、タバコも吸う、そんな感じ。
ちなみにヤンキー系の、喧嘩強い系のデブ。
そういうタイプのデブ、想像しやすいんじゃないでしょうか。
今僕はデブデブ書きましたが、ムッとした人、黄色信号です。
僕が小学生だった頃の、父の話をします。
仕事のストレスのせいだと言ってましたが、家に帰ると父は決まってインスタントラーメンを食べてました。まだ母親が晩御飯を作ってる最中なのに。
しかも茹でたりなんかせずに器にあけて熱湯をかけ、時間も置かずにバリバリ食べてました。
勿論ご飯もちゃんと「どんぶり」で食べてキチンとおかわりもします。オカズが足りないとツナ缶をご飯の上にぶち撒けてマヨネーズかけて食べるという徹底ぶり。
勿論デブでした。
腹が膨れると自分勝手にテレビのチャンネルを替えて、煙草を吸いながらファミコン三昧。
父曰く「俺がゲームするのはストレス解消」だそうです。そう言っては「息子の為」とか言って中古ゲーム屋に通っていました。
そんな生活をしていた父がどうなったか。
六年生だった僕が休日、サッカーの練習を終えて帰宅すると父がいません。姉にどうしたのか訊くと、ゲームしてる最中にゲロ吐いて救急車で運ばれたらしい。
病名は脳梗塞。原因は——言わなくてもわかりますよね?
実は5、6年以上前から高血圧を指摘されていたそう。
その時は後遺症もなく退院できたのですが、昔はどの会社もブラックでして、病気で一ヶ月以上休んだ人の居場所はなくなります。父は退職しました。
幸いその時はまだ蓄えもあったし、母親も美容師として復帰したばかりでしたから、困窮、とまではなりませんでした。
しかし——。
二、三年後、再就職先で父は、また倒れました。
休憩中、タバコを吸いながらコーヒーを飲んでいた時、喉の筋肉がちゃんと動かずにコーヒーで溺れたそう。
その時の病名も脳梗塞。原因は……言わなくても、わかりますよね?
だってデブだったんだもん。
そしてその時に父は後遺症で、左半身の感覚がなくなりました。動かそうとすれば動くんだけど、動かしている感覚も、熱さとか重さとか、そういう感覚もない。
だから自転車にも乗れないし、駆け足もできない。車の運転なんてもっての他。
当然、お仕事もできません。
そんなわけで、我が家は困窮しました。
父の病院代に、僕らの学校代。その他諸々の出費や、それによる借金で月々の支払いは16万円を超えました。
母はどうやって払っていたのでしょうね。「手取り14万円のお仕事」で。
そんな中部活をさせて貰えていた僕も、父親と同罪かも。
一応、比較的お金の掛からない陸上競技に鞍替えはしていましたが、部活なんてしないでアルバイトでもするべきだったと思います。僕は自分の好きな「走ること」を辞められませんでした。引退するまでバイトはしてません。
話が逸れましたね。
そんなこんなあってなんとか僕は高校を卒業できましたが、母の苦難は続きます。
姉が職場で虐められて鬱になり、ニートになってました。父の病院代の他に、姉や弟の生活費を稼ぐ事からも解放されません。
僕も毎月6万円くらい仕送りしてましたが、果たしてどれくらいの助けになったのか。
その後も色々ありましたが、取り敢えず父は、今でもデブです。タバコも吸います。一時期「死にたい」なんて事も言ってましたが、それは僕らが許しません。そんな死に方をされていったいどれだけの負担が残された僕や母に掛かるのか。
勿論、父を可哀想だと思います。僕は息子で、父は父親です。そう思わないワケがないです。
でも結局それは「父の生活習慣が招いた事」であります。
今日僕はそれを思い出し、たかだか同僚に少しキツめの事を言っちゃいました。本当に余計な事をしたと思います。
親切ではなくて、お節介です。
なんでかって?
人間は他人から何かを言われても、変わらないからです。
自分自身が心の底から「変わろう」と思わない限り、変わる事はありません。人間の恒常性とはそれくらいに強いのです。
だから今日その場でシュンとしていた同僚もきっと、変わらないのでしょう。
すげー無駄な時間。
でも、何故かお節介ってやっちゃうんですよね。意味がないってわかっていても。
さて、まとめますか。
「デブ」という言葉は差別用語なのかもしれません。ですが、その見た目はその人の生き方を表しているという事実があります。
太っちゃう様な、太る為の生活をしていると、人間は太るのです。
解決策は「太らない生活をする」以外にありません。
太りやすい体質の人もいる事でしょう。
しかしその人その人の体質なりに「太らない生活」「太る生活」があります。痩せやすい人達が皆ガリガリでない様に、太りやすい人達が皆ブヨブヨしているというワケでもありません。
だから「デブの何が悪いんだ!」って反感を持った人に言います。
デブは別に悪くありません。
ただ、身内に迷惑をかける確率が上がるという事だけは、覚えておきましょう。