ちょっとしたネタバレで、次の日曜日に更新するお話は、昨日更新したお話の続きを描きません。別の人達をちょっとだけピックアップします。
んで、その人達の中に「武下 亜美」(たけした•あみ)という女性が出てくるのですが、中々の子悪党、なんですけど少しだけ可哀想に思います。なんでかっつーと、隼人に拾われたせいで散々な目に遭っているから。笑
まあ彼女が【レベルアップ】しまくったのは隼人に会った後で、【運】が上昇したのもそのタイミング。隼人に出会う前には、それ以外の選択肢を見つけられなかったのでしょう。
ところで皆さん、「運」とはいかなるモノだと考えますか?
ちょうど良い事に先々週、僕の考える「運」に、かなりしっくりくるエピソードに出会いました。それを紹介。
それは、まだ東から太陽が昇ったばかりの、山道での出来事です。
ハイエースの助手席に座る僕は、前方でわさわさとうごめく黒い何かを発見します。近づいてみると、それはシカの死体に群がるカラス達でした。たぶん車に轢き逃げされたのでしょうね。
ハイエースが近づくとカラス達は一斉に飛び立ち、数匹のキツネ達も遠ざかって行きます。
僕はシカを見ると、可愛いと思います。ですが、その時の僕は、その光景を見て、グロテスクには思いませんでした。
何故なら僕は、スーパーとかお肉屋さんに並ぶ、パッケージされた食肉を見た事があるからです。
だから、カラスやキツネにとって既に食肉となったシカを見ても、残酷に思うとかそういう感情が湧き出る事もなく、ただの食事の風景、としか思いませんでした。
むしろ、霜がかかって煌めくシカの体表や、おそらくキツネの吐息や唾液で温められたのでしょう、シカの白い脂質やルビーのような赤身の光沢を、美しいとさえ思いました。
さて、シカの死体を見てそんな感想を持った僕ですが、思った事はそれだけではありません。
——シカはどこで自分の死を選択してしまったのか。
という事です。
それは車が走る山道を横切ろうとした時なのか。
それとも、その時間帯にその山道のある山に居たからなのか。
それとも、その山一帯を自分の住処として選んだからなのか。
そもそも、そのシカの選択とかは関係なく、人間が其処に道を作ってしまったせいで、そのシカの運命は既に決定していたのか。
誰にもわかりませんよね?
他方で僕は、すんでの所で死を免れた事が何度もあります。
例えば暗視スコープ無しでは辺りを見渡す事すらできない真夜中の山中で立ちションをする為に他の人達から遠ざかろうとした時、ふと何気なく立ち止まりました。そしてよく目を凝らして自分の足下を見ると、それは切り立った崖。あと一歩でも足を踏み出そうものなら転落死、良くて遭難、そんな状況になるところでした。
僕は「あと一歩踏み出さない選択」をした事により、助かったのです。
その事をキッカケに、その不思議な出来事に僕は、「運」という名前をつけました。
きっと他の事でもそうなのでしょう。命が脅かされるとかも関係なく、ほんの些細な事柄までが、その選択肢であると、僕は認識しています。
ただし、その些細な選択肢が及ぼす影響は、自分だけに、とは限りません。僕の選択が自分以外の誰かに何かを作用させるかも知れないし、また逆に、知らない誰かの選択が僕に影響するかも知れないのです。
そしてそれを僕は「生き物の死」以上に残酷だと思います。
コンビニにあるコーラを僕が購入して飲み干したなら、そのペットボトルは空になります。それはコーラを見た瞬間にわかる事です。ですが、家に居る状態でそのコーラの状態を知ろうとしたとして、それをいつ誰が購入し、飲み干すのか、それはわからないでしょう?
その後店に行った僕は思うのです。コーラが売り切れた飲み物コーナーで「ついてねー!」と。
もしかしたら、もっと早いタイミングでお店に入ったならば、コーラを飲む事ができたかも知れません。でも、どのくらい早いタイミングで?
だから「ステータス運で無双」とかいう言葉を見ると、「無邪気だなぁ」とか思っちゃったりなんかして。
ちなみにパチンコとかで負ける人は、お店に入った時点でそれが決まっていた、と僕は思ってます。設定を読み間違えた、とかは関係なくね。笑