異世界の物語的に、転生前を詳しく書くのはナンセンスである、と考えサラッとしか書いてなかった「李 麗君」(リー•リージュン)の生涯を「作品外」であるココで書きます(メモを紛失しても困らないように)。
リージュンの父親である「李 昊煌」(リー•ハオファン)は河北省にある農村の地主の家に産まれました。ハオファンは甘やかされて育ち、八極拳などを練習しながら大人になります。
そして、大陸の政権が中国国民党から中国共産党に移り、中華人民共和国が誕生しました。
そんな時、土地改革法により家の財産が没収される事を嫌ったハオファンは、財産の一部を持ち逃げします。一応、生計を立てる分の財産は残されるので一農民として生きる道もあったのですが、ハオファンはちまちま生きることを良しとする性格ではありません。
ハオファンは香港へ移住しました。
戦後、租界制度が廃止され天津や上海などが返還された後でも、香港は英国の植民地であるため、本土の法律の外に逃げたかたちになります。
そしてハオファンは1953年に香港の娼館で働く女性との間に子供をもうけます。「麗君」(リージュン)と名付けました。
しかしハオファンは派手な性格であったため、リージュンが産まれた時は既に財産はほとんど残ってません。
リージュンの母親はリージュンが産まれた後も娼婦として働き、ハオファンは工場で働いたりリージュンに拳法を教えたりしながらのんびり生活していました。本土では国民体育委員会によって武術は国術とされ、演武であったり健康法のようなものに変化していきましたが、香港ではあまり関係ありませんでした。
ハオファンのような考えで移住して来た人は稀ですが、「大躍進政策」から逃れた人などで、かなり多くの移住者が香港にはいます。リージュンは学校に通ってはいませんでしたが、武術の練習をしていると声をかけて来る人も多く、読み書きや本土の情報の大半は、その人達から得ることができ、友人も数人作る事が出来ました。リージュンの社交性は、この時に身につけたものです。
そして、リージュンが十三歳を迎えた時、中国本土で「文化大革命」が始まりました。各地で暴動が起こり、更に多くの難民が香港へ流入します。香港内でも文革派の影響を受けた人達が暴動を起こしたりして逮捕者も続出しました。
リージュンは気にせず武術を練習していたのですが、ある日友人と一緒にいる時に文革派の男達に襲われます。リージュンは友人達を守るため、男達と戦いましたが、その時に男達を殺してしまいました。
リージュンは逮捕され、獄中でインフルエンザを罹患し、享年十五歳の若さで「他界」。
作品内の世界に転生しましたとさ。
おしまい。
https://kakuyomu.jp/works/16817139555184906428 追記
未成年者で「獄中」という表記もおかしな話ですが、獄中、とさせて下さい。