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https://kakuyomu.jp/works/16816927859413555828/episodes/16817139555299449594 僕はこの文章の冒頭で、陣内隼人の「他人を懐柔する手口」を描きました。それによって彼が「言葉巧みに人を操るヤベェ奴」であると同時に「操られるほうにも問題がある」ことを表現しよう、としたのです。
……ですが、先日TwitterのDMで、
「隼人いい奴じゃん?」
とか言われました。
僕としましてはわかりやすいように「反社会的な仕事の一部」をチラつかせた上で「わざとらしいキラキラした言葉」を選んで、その手口が成立するように「実際のヒトタラシ達が使うテンプレート」に当てはめたのですが、多分その組み合わせが悪かったのでしょうね。
「犯罪」と「キレイゴト」は、どちらも強い言葉であり、それが本質を隠してしまったという、明確な失敗です。
どうやら光とか迷彩度による錯視や錯乱と似たような効果が文章や言葉にもあるようです。
ので、解説します。
安心して下さい。ストーリーのネタバラシにはなりませんから。
隼人は自分を信じ込ませやすくするための「土壌」を事前に作ってます。年上に敬語を使って貰える程度には。
その手口は明らかにしてませんが、なんでもいいです。
例えば第二話の肆「人狼」と伍「『わかりません』」で山本が勇吾を動かしたように
「漢気のある部下の叱り方」を見せて憧れと恐怖心を植え付けた上で「冗談とか言ってリラックス」させて信用を得ても良いし、
逆に「叱られる姿」を見せてそれを「耐える」ことで「この人は苦労してる、俺の為に。俺も頑張んなきゃ」とか思わせても良いです。
で、その下地ができたあとに
「相手が自分にではなくて『他人』に感じている恩」を利用し、さらにその他人を褒める。
これにより、相手が他人に持つ「忠誠心」を高め、自分に対しても「この人は他人を褒める良い人だ」と思わせることができます。
さらにそのあと
自分と相手を正当化する「綺麗で聞こえの良い言葉」を使い、良い気分にしてあげます。
さらにさらに
上記した事により「相手にとっての良い人」になった状態で一旦、相手に対する要求を引き下げ、相手に自分が奉仕する姿勢を見せます。この事で相手の警戒心を「わざと呼び戻す」のです。
その上で
自分の株を上げる「謙虚なキレイゴト」を言うわけです。それにより更なる信頼感と安心感を相手に与え、何よりも「自分で選んだという責任感」を持たせる事が出来ます。
以上が分解した解説なのですが、これらをやりやすくする為に「ダブルバインド」や「YESセット」も使用してるので、かなり悪どいです。
特にYESセットは自分でハイハイいうよりも「他人にハイハイ」言わせたほうがより自分を肯定的に魅せる事ができたりする、カンタンな怖い手口です。
というわけで、隼人は「良い奴」では無いのです。誤解しないでね❣️
ところで、コミュニケーションがうまい人で「意識せずにこれらの事を使ってる」人達がいます。そして、悪用する人ももちろんいますが、ほとんどの人達は悪気なく使ってたりするし、むしろ「良い使い方」をしている事のほうが多いです。
例えば「人の話を聞かない頑固な人」が、「自ら破滅の道に進もうとしている」のを目撃した時、皆さんはどうするでしょうか。
ほっとく?
それが一番です。
でも本音は「他人の破滅なんて見たくない」のではないでしょうか。
そんなとき、こういう「説得する技術」が役に立ちます。
僕が今回紹介したやり方は使い古されてる方法なので、紹介しても問題ないと判断し、このノートに書きました。
それでも悪用しようなんて考えないで下さいね❣️