いちゃいちゃ回です。
○三井物産の松本さん
架空の人物です。
ちなみに若林幸男氏『三井物産人事政策史』所収の表
(p72)によれば、前年1926年の東京市の人口は206万9000人、乗用馬車7台、人力車8342台、自転車17万7713台、自動車3930台とあります。バスはダイヤによるでしょうから統計はありませんが、近代化が進みつつある時代ですね。
なお杉並区は、昭和4年(1929)の世界恐慌後に東京市に編入となります。(wiki)
今気づいたんですが、本当は浅草あたりがよかったのでしょうが、余り考えずに杉並にしてしまっていました。
丁稚制度から通勤制度に変化していて、交通インフラの発展とともに社員の居住区がだいたい決まるでしょうが、ちょっと杉並は遠すぎますね(笑)中央線で通勤したのでしょう。
また昭和2年のデータで、三井物産の月給職員は2483人、月給見習いは7人、特別採用者が2人となっています。
春日豊氏『帝国日本と財閥商社 恐慌・戦争下の三井物産』も入手しましたが、本作ではほとんど参考にして書いているわけではありません。
ですので、あまり深く考えずに読んでいただけたら幸いです。
三井物産にしたのは、1に大企業であること、2に商品取引業であること、3にたまたま上記2書が目に付いたことです。
○月給65円
これは岩瀬彰氏『月給100円サラリーマンの時代』の初任給一覧があって、そこに
帝大、商大、神戸高商=80円
各私大=72円
地方高商=64円
甲種商業=40円
とあり、64円だと切りが悪いので65円にしてみました。
なお、給料は今の3000分の1、物価は2000分の1の感覚、さらには賃貸を副業にしている等も同書からです。
ただしこの頃、三井物産で副業がOKだったかどうかは調べていません。
なお通常は、徴兵時には退社し、除隊後に再入社という形を取っているようです。
夏樹の場合は伝手入社なので、除隊後も再入社の内定済みというスタンスです。
時代がよくわからないのですが、大手企業では社員の服役者に対し、兵役中に軍からの給与にプラスして手当を支払い、家族の生活を支えたようです。
なお主人公二人は、何しろ3000年以上生きていますから、隠し財産も相当なものでしょう(笑)
よくファンタジーものにあるような亜空間収納、いわゆるドラえもんの不思議ポケットのような能力を持っているので、どうにでもできます。いざとなれば物質創造もって、そこまでやると時代感が無くなるのでやりませんが、裏設定です。
ただし、亜空間収納は普段から使っているとお考え下さい。なので移動時も荷物が少なくて済むのです。
「なお」が続いたのですが、この頃の女性の給料は薄給です。教師をのぞいて、概ね月に30円~40円のようです。
○ちゃぶ台、ガスかまどなど
九段下の昭和館の常設展を参考にしました。ただ当時の杉並でガスかまどだったかどうかは……。都市部だったのかも、ちょっと扱いがわかりません。
○家の間取り
平井聖氏『図説日本住宅の歴史』に色んな住宅の間取り図が載っています。
ここでは大正10年頃、洗足村の住宅の図面を採用しました。
○清玄寺
架空のお寺です。栃木県のどこにするか迷ったのですが、福島よりで、軍の飛行場が近くにあったという理由で那須塩原にしています。
ただし戦時の学童疎開は苦しかったようですね。
手紙を今風の文章にするか迷ったのですが、当時の手紙文を適当に参考にしながら書きました。
前にお風呂で互いに背中を流すシーンは、(なろうだけの掲載ですが)異世界編で描いたので、今回は違うようにしました。
【追記】
なろうの方で、ガスかまどはまだ早いのではないかとご指摘をいただきました。
確かに昭和館の再現も、昭和10年のものでした。
関東大震災でガス事故がなかったことから、ガスは安全と判断されて普及していくのですが、昭和2年の時点では普及が早いと思われます。