現在連載中の「この空の果て、戦火にありし君を想う」『君と歩く永遠の旅』戦前・戦中(戦時下)編について、各回の補足を近況ノートでします。
作品は→
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885626974 戦時の情報は、私より詳しい人が多いと思いますので、間違いと思われる箇所をご指摘いただければ幸いです。
またお薦めの資料のご紹介もいただければ、とてもうれしいです。
○欧州航路
参考資料として次を購入しましたが、残念ながら私の求める情報はありませんでした。
松浦 章『汽船の時代と航路案内』
ぶっちゃけ、就航していた船とその旅程を知りたかったんですね。あとは可能ならば航海の様子やエピソードあたりを。
おそらく次の資料の方を買うべきだったと思いますが、今回はその他にも資料を購入しすぎて、これ以上のお金は使えないので断念しました。
橋本順光・鈴木禎宏『欧州航路の文化誌: 寄港地を読み解く』
和田博文『海の上の世界地図――欧州航路紀行史』
参考にしたサイトは次の通りです。
「日本郵船 欧州航路を利用した邦人の記録」
http://www.saturn.dti.ne.jp/~ohori/sub36.htm イギリス・リヴァプール―横浜間が50日ほどということで、マルセイユからおよそ1ヶ月というのは想像になります。
上記サイトに、
「1938年3月27日横浜港発の白山丸を見た場合、ナポリ着が5月5日、ロンドン着が5月14日の予定である。そして白山丸の次の航海は8月14日に同じく横浜発で、その後は翌1939年の1月2日発である」
とあるので、もし昭和2年の旅程も同じであれば、本当は4月初頭時点では日本からナポリに向かっている最中だと思います。
航海最後の晩餐会が行われていたかどうかはわかりませんが、昨今の豪華客船のクルーズでは行われているようですので、あってもおかしくはないと判断しました。
○昭和2年4月6日の天気が晴
これは永井荷風の『断腸亭日乗』という日記からです。
○ウイスキー「ハイランドパーク」について
日常用として私が飲んでいるものです(笑)
実はこの箇所で、いきなり問題があることに気がつきました。
2話で明らかになりますが、主人公夫妻は19歳の設定となり、未成年の飲酒となってしまいます。公開してから気がつきました。
後の展開上、年齢の引き上げはできないので、2話帰国後に神通力でいじくったと苦しい設定にしました。
ちなみに『未成年者飲酒禁止法』は大正11年の制定ですから、作中でも未成年の飲酒はアウトです。
くれぐれも、未成年の飲酒を許容するわけではありませんので、ご注意願います。
○皇居のお堀端について
この時代、東京駅から九段下間のお堀端で柳があったのかどうか、確認は取れておりません。
桜田門外、日比谷公園あたりの情景は、岡本綺堂の随筆「柳のかげ」に明治20年ころのこととして記載があります。
本作では、この情景を参考にしたものになります。
なお桜については、『断腸亭日乗』から、このころ桜が見頃だったと当たりをつけているにすぎません。
以上となります。
いい資料をお持ちの方や御存知の方がいらしたら、お知らせいただけると幸いです。
それでは、これからもよろしくお願いします。
※なお並行して別作品も書いているので、更新は不定期になります。
【追記】タイトルは宮城県 丹野きみ子さんの次の歌からの連想です。
この果てに君あるごとく思はれて
春の渚(なぎさ)にしばしたたずむ
(『全国未亡人の短歌・手記 この果てに君ある如く』p49)