わたくし、墓尾つばめはケーキ作りの真っ最中でございます。
何のケーキかとお尋ね?
うふふ、もちのろん、クリスマスケーキでございます。
えっ? まだ十一月だよ?
と思われていらっしゃるようですわね。
熟成肉って、ご存じかしら。
低温で一定の期間貯蔵し、熟成させた肉のことでございます。
食肉の熟成は、動物が死んで死後硬直の状態になった肉を低温に貯蔵することで、硬直が解けて軟らかく食用に適した肉へと変化する過程を指しますのよ。
しかも、でございます。
この過程で酵素の働きで保水性が高まり、アミノ酸やペプチドが増加して味や香りも向上いたしますの。
近ごろ話題の熟成肉は長期熟成のものを指しまして、専用の熟成庫で温度と湿度を管理して行うドライエイジング(乾燥熟成)と、真空包装で冷蔵保存するウェットエイジングがございます。
ええ、さようでございますわ。
わたくしは、クリスマスケーキを熟成肉のように美味なるデザートに仕上げるために、この時期から作っております。
熟成クリスマスケーキ、でございます。
だってえ、愛しい正刈草雄くんには「さすがはつばめちゃんだ! この芳醇な香り、とろけるような甘さ、まさにクリスマスケーキの鑑だよ」って喜んでいただきたいのですもの。
草雄くんがつばめの手作りケーキを一心不乱に食べる姿を、わたくしは微笑みながら見たいのでございます。
でも肝心なのは、いかにお金を掛けないか、でございます。
わたくしのようなセレブ女子であれば、百万円の札束でたき火ができるほど銀行に預金してございます。
それを使ってしまうのであれば、愛しの草雄くんに叱られてしまします。
ゆえに、スポンジケーキは近くのスィートショップで廃棄されたものを深夜にこっそりと頂戴してまいります。
タダ、というわけには参りませぬゆえ、代わりにママ手作りの白菜キムチをタッパーに入れましてシャッターの降りたお店の玄関に置いていきます。
生クリームは期限がちょっぴり切れました紙パックが、ご近所のスーパーのゴミ置き場にあることは、ちゃんと下調べしております。
さすがはつばめ、でございます。
多少生クリームは固めのほうが、加工しやすうございます。
さてさて。
クリームの色付けでございます。
えっ?
生クリームかバタークリームか、はたまたチョコレートしかないだろってお訊き?
いま巷では虹色スィーツが流行りってご存知ないのかしら。
いわゆる、インスタ映えってやつでございます。綿菓子やドーナッツが代表格ですのよ。
わたくしだって流行は取り入れます。
七色のクリスマスケーキね、ウフフ。
あ、でもちょっと待って。
わたくしの住まうマンションには食紅などございませんわ。
どうする、つばめ?
そうですわ!
ピーンと閃きました。
わたくしは中京都大学漫画研究会部員よ。
お部屋には漫画の色付け用に、ポスターカラーが48色ありましたわ。
食紅よりも蛍光色が強いから、もっと美しく彩れますわ。
さすがは、つばめ。自分を褒めてしまいます。
そうなりますと俄然創作能力を発揮したくなるのが、クリエーターの性ね。
ケーキの縁取りは48色をすべて使いまして、上部に日野日出志先生の『地獄少女』を原色豊かに描いてみましょう。
模写は得意よ。しかも、もっと怖気の走る彩色にいたします。
そのまわりに立てますのは、蝋燭では面白くないですわねえ。
お線香?
良いアイデアです。
お線香を10本づつ束ねまして、『地獄少女』の周囲に立てます。
煙がまるで雲海のよう広がり幻想的で、草雄くんもウットリしそうよ。
ちょっと出来上がりを想像してみましょう。
48色のクリームに縁どられた丸型ケーキ。
その上には思わず悲鳴が上がる『地獄少女』の画。
そしてグルリを囲んだ大量のお線香。
なんだかステキですわ。
しかも約一ヶ月熟成させますゆえ、味は最高ときております。
つばめは本当に機転の利く乙女でございます。
~~♡♡~~
暑い暑いと申しておりましたのに、すっかり気温が下がってまいりました。
このところリアルで図書館三昧。お勉強のため、直木賞作家さまや芥川賞作家さまのご本を読み漁っております。
まもなくカクヨムコン4がスタートですわねえ。
え?
わたくしは今回は応援団にまわらせていただきますわ。
何度か書きましたように、「高尾友人帳」にお名前のある書き手の皆さまを中心に。
そんなノートに名前があると不吉だから削除してくれ?
ですのおと、ではございませぬわよう、おほほほっ。
なにはともあれ、今しばらくはインプットのみでございます。
そうでしたわ!
わたくし、ウッカリさんでした。
久しぶりに拙作にレビューやお★さまを頂戴し、御礼を申し上げますことを失念いたしておりましたわ。
「みかんをのせた、もっちん」
『受け継がれる村の魂』~ 一矢射的さま、いつもありがとうございます!
レビューは大層励みになりまする。
心より御礼申し上げます♬
「契約遂行」
ならびに
「二十歳のおばあちゃんへ」
@chappppさま、どうも初めまして! この度はご覧くださり、またお★さままで頂戴いたしまして、誠にありがとうございます♬