現在、我が町内では壮大な計画が持ち上がっております。
きっかけは町内理事会で婦人会長の発言でございました。
「皆さま、よろしいかしら。
近ごろなんでございますか、インバウンドとか申して外国の観光客を呼び込んで銭を落として、いえ、誘致して活性化を図ろうとしている自治体が多いなんて、ご存じかしら」
ギロリと赤い三角眼鏡の奥の細い目が光ります。
「そこででございます。我が町内にも銭を落として、いえ、たくさんの外国人旅行者のかたがたに来ていただく方策を可及的速やかに打ち出しませんと。
下手こいて、いえ、後手にまわりますと、隣町に貴重な銭を、いえ、旅行者を取られてしまいますざますわよ!」
なるほど、と役員一同首肯いたしました。
「高尾さん!」
「は、はいぃ!」
突然名指しされ、わたくしは思わず跳び上がります。
「ああた、この中では最も若いし、柔軟な発想をお持ちざんしょ」
「い、いえ、若いと申しましても、もう三十歳の声をきく年頃で」
「よござんす! 女は三十歳からよ」
なにが三十歳からなのか、さっぱりわからぬまま、わたくしは「町内活性化プロジェクト」の委員長を仰せつかりましたの。
そして、わたくしは「ああでもない、こうでもない」とカクヨムさえする時間を惜しんでない知恵をしぼりました。
天啓。
まさしく小説の発想のごとく、あるアイデアがふってまいりました。
それが、「江戸川ランド」でございます。
はい、もうお気づきですわね。
わたくしが敬愛する江戸川乱歩先生のテーマパークを町内に作っちゃおうと、あいなったわけでございます。
東の「東京ディ〇ニー・ランド」、西の「US〇」。
そして我が町内の「江戸川ランド」。
これは絶対に外国人旅行者にウケる!
わたくしは、そう確信いたしました。
なんと申しましても、変幻自在の怪人二十面相さまに明智小五郎名探偵。
ネズミのミ〇キーや蜘蛛のスパイダ〇マンに引けをとらぬキャラよ。
しかも、「パノラマ島奇談」、「孤島の鬼」、「悪魔の紋章」、「黒蜥蜴」に「白髪鬼」。
もっと言えば、「芋虫」、「盲獣」、「闇に蠢く」、「暗黒星」に「一寸法師」。
どれを取りましても、相当エゲツナくおどろおどろしいアトラクションができるわ。
しかも建設場所は、町内のはずれにあります広大な墓地の横。
ナイト営業にも、もってこい。
そうですわ。テーマパークにつきもののパレードは、怪人二十面相さまが化けられた歴代の怪人と、小林少年を団長とする少年探偵団の行進よ。
わたくしはこの構想を次回のプロジェクト会議で声高らかに皆さまにお聞かせいたします。
~~♡♡~~
おとそ気分が覚めておりませぬのに、もう師走。
早い! 早すぎる!!
もう平成もラスト、でございます。
カクヨム界を徘徊させていただいて幾星霜。
皆さまには本当にお世話になりました。
本年はイヤなこともございました。いわゆる星爆、ってえやつでございます。
今まで拙作を非公開にしたことはございませぬのに、アノ一件でひとつの物語を闇に放りこみました。
ま、すぎたことでございます。
あの星爆のかたがたも、無事に年越しなさるのでしょうねえ。
良心がないのでしょう。それもweb小説の洗礼として、わたくしは甘んじて受けますわ。
だって、少なくとも数名のお方は、こんなつばきの物語を貴重なお時間を割いてご覧くだすっているの事実ですゆえ。
お付き合いくだすった皆さま、本年も大変お世話になりました。
つばきは来年はさらにカク! ヨム! で参加させていただく所存でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます♡
あ!
このところ、さっぱり読まれておりませなんだ拙作にレビューを頂戴しております!
「トリック・トリップ 無限大」
空っ手さま、「そうして彼女は強くなる、無限大の可能性と無限大の面白さ……!」
これは拙作「魔陣幻戯」シリーズで活躍する中国拳法の使い手、洞嶋レイに女子高生の弟子ができた物語でございます。
当然のように読まれておらぬ物語。
でも、つばきの想いはどの物語に負けず劣らず入れております。
心より御礼申し上げます!
小説は、やはり、よございます。
わたくし、さらに磨きをかけて来年こそ皆さまに「ほう、やはりつばきはこれでなくてはな」とおっしゃってくださるように精進いたします♬