夜間照明に浮かび上がるゴルフ練習場。
時刻は午後十時をまわっている。
駐車場には数台の自家用車が停まっており、ボールを打つ音が聞こえてくる。
一台の乗用車が駐車場に入って来た。
かなり年季の入った小型車であり、ボディにはこすった痕が何か所も見受けられる。
よほど運転が下手なのだろう。
「オヤジ、先生が到着なさったようでさ」
駐車場の隅、ライトもあまり届いていない場所に停まる黒塗りのベンツの中で、バックミラーを見ながら運転手が後部シートに座る人物に声を掛けた。
運転手はスキンヘッドであり、光沢のある銀色のスーツを着ている。
胸元には喜平の金ネックレスをこれみよがしに光らせていた。
後部シートの座っているのは和服姿の老人。白髪をオールバックにし、薄茶色のサングラスを掛けている。
廃車寸前の小型車は、ベンツの後方十メートルの位置に停車した。
ベンツの運転手は素早く降り立ち、後部席のドアを丁寧に開く。
老人は車外へ出た。
小型車はエンジンをかけたままである。
スキンヘッドの男は両脚を開くと、手のひらを膝に付けて頭を下げた。
ガチャッ、と小型車のドアが開き、大きな影がゆっくりと出てくる。
「先生、ご足労いただきやして、恐れ入りやす」
上背のある影が音もなく歩いてくる。
スキンヘッドの男は、思わずゴクリと喉を鳴らした。
こ、このおかたが、超一流のスナイパー……
ゆっくりと歩いてくる影が、駐車場のライトを受け徐々に正体を浮かび上がらせていく。
短く刈り込んだ真っ黒な髪、ナイフの刃を彷彿とさせる細く鋭い双眸、鼻から口元には斬り込んだようなほうれい線。
その男は一目で高級とわかるスーツを着用し、両手をズボンのポケットに入れたまま立ち止まる。
「報酬は、スイスの銀行口座に振り込んでおいてくれ」
ドスの効いた低音でそれだけを言う。
運転手はベンツのトランクを開け、中からゴルフバッグを取り出した。
それを男に渡そうと近寄った。
「止まれ!」
男は鋭く叫んだ。
「俺の半径三メートル以内に入った者は、たとえ神父であろうと地獄へ行ってもらう」
「す、すいやせん。これは先生から頼まれておりやしたM16A2で」
軍用小口径アサルトライフルのことだ。
男はベンツと小型車の中間地点にそのゴルフバッグを置かせ、運転手を下がらせると自ら取りに動いた。
二人に顔を向けたまま、男はゆっくりとバックで歩き、小型車に乗り込むとタイヤを鳴らして走り去っていった。
「ふうっ、やはりプロのスナイパーは迫力が違えますぜ、オヤジ」
「ああ、そうだな。ところでお前は気づいていたか」
「えっ?」
「あの男のスーツ」
「はっ? ス、スーツでやすか」
「ああ、正確にはズボンだ。
なぜあんな高級なスーツなのに、ズボンの裾がくるぶしより上だったんだ?」
「え~っと……」
「わしは爆笑を堪えるのに、必死だったぞ」
スナイパーの男は気づいてはいなかった。
まさか採寸で大失敗したオーダースーツを受け取っていたことに。
なぜ試着をしなかったか、と苦悩することに。
つばき、でございま~す♬
超一流のスナイパー、ズボンの丈に気づいた時に、お顔を真っ赤にされるのかどうか。「スナイパー 2」をご期待くださいまし~♪
といったところで、なんの脈絡もなくカクヨムさまをチェ~ック!
あ、「夜空いっぱいのシューティング・スター」にお★さまをいただいております!
駄目人間さま、
初めまして! 師走のお忙しい時間にご覧くださり、また輝くお★さまを頂戴いたしまして誠にありがとうございます!
どうぞ素敵なクリスマスをお迎えくださいまし♡
心より御礼申し上げます♬
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます!
ま、「予想外な涼ノ宮兄弟」にレビューを頂戴しております!
くさなぎ そうし さま、
年末のあわただしい時節に、わざわざお目通しくださり、またレビューまでいただきまして誠にありがとうございます!
表現を褒めてくださるなんて、嬉しい♡
つばきがウンウンうなりながら、言葉を紡いだかいがございました ♪
お★さま三つは次回へのエールでございますわね。ちょっとハードルが上がってしまいます。でも頑張りま~す!
心より御礼申し上げます♬
~大御礼~
皆さまには本当にお世話になり、なんとかここまで来させていただきました。誠にありがとうございます♡
実は、拙作「猟奇なガール」が、本日PV500となりました。
え、500くらいでなんだよう……とお思いなさることでしょう。
ただ、この作品はまさしく万人受けしない見本のような短編でございます。100でもいけば御の字、正直そう思っておりましたの。
PVは五ケタ、お★さまは四ケタをお取りになるおかたが多いカクヨム界でございます。
たかが500、と鼻で笑われるのは承知の上でございます。
でもわたくしにとっては本当に嬉しい数字でございます。
ランキングやお★さまは大事です。でも、わたくしは「ご覧くださるおかた」が何よりも大切です。
これからも拙い物語ではございますが、つばきは「ご覧くださるおかた」がいらっしゃる限り、描いて参る所存でございます。
本当に、心より御礼申し上げます!!