町内会長さまから、姪御さまが整体院を商店街に開業したので、ぜひ一度のぞいてみてはくれないかと依頼されました。
とは申しましても、わたくしは日ごろから鍛錬を怠ってはおりませぬゆえ、爪先から頭のテッペンにいたるまでどこにも異常はございませぬ。
たま~に、脳ミソが宇宙からのメッセージを受信いたす程度でございます。ええ、たま~にですわよ。
日ごろからお世話になっております町内会長さまの、たってのお申し出。
わたくしは、あい承知つかまつる、などと安請け合いをいたしましたの。
で、現在その整体院の待合室でソファに腰を下ろしております。
はい、確かに整体院、のはずでございます……お、表の看板にもそのようにありましたし……
でも、わたくしがイメージしておりました待合室とは、百八十度違いますの。
壁は、むき出しのコンクリート。
しかもスラム街を彷彿とさせるような色とりどりのスプレーインクで、上品なわたくしは生涯口にしないような卑猥な文言を英語で落書きされております。
頭に星条旗柄のシルクハットを被せた等身大の骸骨モデルや、ピンボールマシンにジュークボックスが置かれております。
壁にはダーツの的、ヘヴィ・メタルバンドのツアー・ポスター、変形タイプのエレキ・ギターが吊られております。
もちろんBGMはギンギンのロックサウンドが流れております。
天井からはドギツイ原色のスポットライトが回転し、わたくしは毒気に当てられたように、すでにキョーレツな眩暈に襲われております。
やっぱり入る入口を間違えたのかしら……
どう逆立ちして見ても、ライブハウスか、米国B級映画でイカレタ連中がたむろしているクラブよ。
ガシャンッ!
と、診察室の札がかかった鉄の扉が開かれました。
「たっかおさ~んっ。ったせしやした~!」
と、ロックサウンドを凌駕する大きな野太い声で、お関取衆が巨大なお顔を突き出されます。
なぜお相撲取りが?
ちょっと、待って――
わたくしこのおかたに以前どこかでお会いしたことがあるわ。
ああ! 思い出しましたわ!
お相撲とりではございませぬ。こ、このおかたは、れっきとした女子でいらっしゃいます~っ!
黒縁の眼鏡に、絵本に出てくる金太郎さまのようなヘアスタイル。
ヌウッと巨体が現れました。
ショッキング・ピンクの医療従事者さまが着用されるお姿で。
巨大な樽に、ボンレスハムを組み合わせたような容姿は、忘れもしませぬ。(9/22 ハンバーガー・ショップ1 をご参照くださいまし)
ま、まさかあの女子店員さまが、町内会長さまの姪御さまでしたとは……
「ぐずぐずしないでぇっ、っさっさとこっち!」
ヒエ~ッ、わ、わたくしは腰を抜かしそうになりました。
二度とチェックできぬかもと、わたくしは素早くカクヨムさまのサイトを!
あ、拙作「THE☆騎士MEN」に、レビューをいただいておりますわ!
まとりくれあ さま、
いつもいつも、大変お世話になっておりまする!
ご多忙の中、わざわざご覧くださり、その上作者冥利につきますレビューまで頂戴いたしまして、誠にありがとうございます!
わたくしの愛する街、ナゴヤをなんとか盛り立てたい。そんな想いから生み出しましたる物語。ええ、どなたさまからも、盛り立ててくれなどとは言われてはおりませぬ。おほほほっ。
ナゴヤ弁にナゴヤ飯、さらには地元住人しかわからぬ地名。それでもわたくしを育んでくれました街を少しでも知っていただきたいと、紡ぎだしました。よもや、あの可愛らしい少女がこのような人間に成長するとは、ナゴヤの守り神さまも予想外でございましたでしょうけど♬
心より御礼申し上げます♡