わたくしは緊張の面持ちで、屋敷の正門前にて待機しております。
普段着ではなく、ハリウッドスターが着用いたしますような豪華な絢爛なドレス姿です。
ジョルジオ・アルマーニ・プリヴェのドレスに加え、オパールのイヤリングやダイヤモンドのブレスレットや指輪などで着飾っておりますの。またこのような衣装が、そこはかとなく似合ってしまうわたくし。うふふ。
いやいや、そんな軽口を叩いております場合ではございませぬ!
今日は以前招待を受けました、とあるお国の大使館から、大使さまがプライベートでわたくしのお屋敷へ遊びにおいでになりますの。
あっ、大使さまだから緊張しているのでは、ございませぬ。
ランチを共にしながら、国際情勢について忌憚のない意見をうかがいたいとのお申し出。
そのランチに関しては、専属の料理長を随行されるとのことでした。
わたくしはランチなら、こちらでご用意いたしますと申し上げたのです。
はい、問題は、このランチでございます。
実は……あっ、一台の車が近づいて参りました。大使さまたちよ。
えっ、マジ?
わたくしは切れ長二重の大きな目元を、さらにおっぴろげました。
エンジン音を響かせながらやって参ります車は、ロールスロイスでもベンツでもございませぬ。
け、軽トラック?
そんなはずはございませぬ。大使さまがそんな軽トラでお越しになるだなんて。ですから、あの軽トラは大使さまではございませ……ちょっと待って。
ナンバープレートは青地に白抜きの、特殊なものよ。ほら、別名ブルーナンバーまたは外ナンバーと呼ばれておりますあれでございますわ!
間違いなく、特命全権大使さまがご利用になる車輛よ。
軽トラが?
正門前に肌色の軽トラが、キキッとブレーキ音を立てて停車いたしました。荷台には幌を被せてあります。
ガチャッと運転席からコック姿の殿方が降りられ、素早く助手席に周ると丁寧にドアを開かれました。
「おおっ、つばきしゃ~ん! 今日もとってもびゅーちぃふるですねえねえねえねえ!」
光沢のあるお洒落なスーツ、ではなく、ブルーのツナギ姿で大使が立たれました。
モーガン・フリーマンを彷彿とさせるお顔に、満面笑みを浮かべておいでです。
日本語はペラペラ、とまでは参りませぬれど、意思疎通は十分でございます。
「これはこれは大使さま、このような遠方までお越しくださりまして光栄至極でございます」
「はっはっは、つばきしゃ~ん、堅苦しい挨拶は無しにしませう。今日はお忍びなのですからしてからしてからさ」
その間、料理長と思われます、サミュエル・L・ジャクソン似のおかたは荷台の幌をはずしに掛かっておられました。
わたくしは、チラチラとそちらを盗み見しております。
「あのう、大使さま。本日のランチでございますが、この町内にございますフレンチの三ツ星店から出前を……」
「ノンノン」
大使さまはにこやかに、顔の前で指先を振られました。
「ご心配は無用でござ~るね。つばきしゃ~んに、アタクシの母国の料理をぜひ召し上がっていただきたいとの思いからからから。
ちゃーんと用意してきたりしてからに。そのために、アタクシも大使館の畑で栽培しております母国の野菜をたんまりと持参いたしましたいたしましたいたしました」
わたくしは、そのお言葉に、多分サーッと顔面蒼白になっていると思います。
料理長さまは、荷台から大きなカゴやらアイスボックス、段ボール箱に加え、一抱えもあります鉄製の檻を下ろされました。檻の中で、得体の知れぬ何かが、のたうちまわっておりまする~!
わたくしは思わず両目をつむってしまいます。
「むふふ~。今日は以前お召し上がりいただいた、母国の爬虫類と昆虫をたんまり持ってきましたからねからねからね。
アイスボックスには、母国でも滅多に食べられない貴重な深海生物が冷凍されてますんだぜえだぜえだぜえ」
エコーをご自身で、お口になさりますの。多分、カラオケボックスで日本語を学ばれたのやも
「し、深海生物……」
「さようさようさようさ。未知なる軟体生物で、学界でも誰も知らない貴重な物よ~。
発表しちゃったら、学者や研究機関の連中が、ドバドバやってきやがるからさ。そうなるとアタクシたちが食べられなくなるから、
このことは秘密ね、つばきしゃ~んしゃ~んしゃ~ん」
大使は口元に指先をお立てになり、ウインクされます。
ナマコならともかく、そんな世界的に発見されておらぬ軟体生物を口にいたして、果たして大丈夫なのでしょうや。
いやいや、それよりも見たこともない爬虫類や昆虫を、ほぼ生に近い状態で食せねばならぬと考えますと、わたくしのデリケートな胃がすでにピリピリと危険信号を送ってきております。
「ささ、つばきしゃ~ん、お腹へったでしょ。まずはモモイロキノボリトカゲの生き造りで、一杯やっちゃいやしょうやしょうやしょう」
大使さまはわたくしの肩を抱かれながら、正門へ入られます。
ああ、つばきの大ピンチでございます~!
席をはずすフリをしながら、カクヨムさまをチェック。いえ、その前に胃腸薬を飲みませぬと。
あっ、拙作「ひねもす漫研、オタクかな」にレビューをいただいております!
<⑬>ひとみさま、
いつもお世話になっております。今回もご多忙の中、ご覧くだすって誠にありがとうございます!
まあ名古屋にいらしたのね、ビックリですわあ。
もしや、ひとみさまも名古屋で異界の住人にお会いになっていらっしゃるかも、ですわねえ♬
ひとみさまからいただくレビュー、嬉しい♡
心より御礼申し上げます!
まっ、拙作「翡翠の月」にレビューを頂戴しております!
関川 二尋さま、
いつもお世話になっております。地底深く埋没しておりました「翡翠の月」をご覧いただき、しかもレビューまで……誠にありがとうございます!
オボロが主役のはずが、後半にはハッキリ申しまして脇役に転じておりました。トホホ……
想像力は確かに必要でございます。ただわたくしなど凡人に過ぎませぬゆえ、お目汚しでなければよいのですれど。
でもこのお話も大切なわたくしの作品、お褒めいただけて嬉しい♡
心より御礼申し上げます!
あらまあっ、拙作「THE☆騎士MEN」にレビューをいただいておりまする!
伊藤愛夏さま、
いつもお世話になっております。お忙しいのに、わざわざご覧いただき、嬉しいレビューまで。誠にありがとうございます!
わたくしの紡ぐお話は、ほとんどナゴヤが舞台でございます。
愛夏さまに楽しんでいただいたなんて言っていただけると、わたくし、ものすごく嬉しい♡
ナゴヤメシ。いつからそう呼ばれているのでしょうかしらね。どれも美味でございます♬
心より御礼申し上げます!