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レビュー御礼~「つばめのアルバイト」

『わたくし、墓尾つばめは社会勉強のため、アルバイトなるものを始めましたのよ。

マンション近くにございますコンビニエンスストアさまで、今夜からスタートでございます。

はい、なぜか店長さまから深夜勤務なら雇ってくださるって言われました。
深夜ならそれほど来店客もいなし、臭いも気にならないだろうっておっしゃるの。

臭い?  はて、このお店では深夜になると何か異臭が漂ってくるのかしら。

わたくしはお借りした制服を着まして、レジの前でお客さまをお待ちしております。
ガーッと自動ドアが開きまして、お客さまがいらっしゃいました。
どうやらタクシーの運転手さまのようです。

い~っ、らっしゃいっませ~っ!!!!

わたくしは元気よく大きな声でご挨拶いたします。

運転手さまは「ヒヤ~ッ!」などと叫んで跳びあがられました。挨拶は元気よく、ですわ。

レジに立つわたくしを一目見るなり、運転手さまはポッと頬を染められます。
うふふ、どうやらわたくしをご覧になり、あまりの美しさにボーっとされておいでのご様子。

でもその後、盛んにお鼻をヒクヒクされておいでです。
わたくしにはわからない、コンビエンスストアさま特有の異臭がやはり漂っているのかしら。

運転手さまはお弁当とお茶のペットボトル、それと新発売のエクレアをカゴに入れられ、わたくしの待つレジへ来られました。
お風邪でも召されておられるのか、ポケットからハンカチーフを取り出し、お鼻とお口を隠しながら盛んに荒い呼吸をされます。

わたくしは華奢にみえますれど、いたって健康でございます。多少の病原菌など苦にもなりませぬ。
法定伝染病に罹患いたしました時にも、平気の平左で大学で講義を受けておりましたの。勉強熱心なわたくしです。
その後、先生を始め皆さまがお休みになり、講義は一週間休校。仕方ないので、こっそり他の講義に出席しておりましたわ。

運転手さまは、チラチラとわたくしを盗み見されておいで。
殿方にとって、わたくしの存在自体が目の毒。
わからないでもございませぬ。
テレビに出ているハーフタレントも足元にも及ばない、神の作りし
美貌。女神のごとき高貴なオーラをまとった、現代のクレオパトラ。などと皆さまが仰っておられるくらいですから。
でもわたくしは、自分では普通のどこにでもいる女子だと思っていますのに。

こちらは温めますか?

一度言ってみたかったの。うふふ。

えっ?  エクレアはチンしなくてもようございますか?  湯気の立つエクレアはもうエクレアとは呼べない?  
承知いたしました。
ではお待ちになっておられる間に、わたくしが持参いたしました特製キムチをご試食なさってくださいな。

わたくしはレジ前でドーナツを入れたケースに一緒に入れておきました、ママ特製のキムチを取り出します。
店長には内緒で、お夜食用に持ってきておりますの。

ケースを開けましたとたん、運転手さまはクラリと立ちくらみなさったご様子。

まあ、深夜の激務でお身体が疲労されておいでですわ。
ささ、このキムチで滋養をお取りになってくださいまし。

はい?  キムチは苦手?  さようでございましたか。

そのケースのドーナツは、入っていたキムチの死ぬほど強烈な臭いがしみ込んで、売り物にならないのではと仰いますの?

大丈夫でございます。すべてのドーナツにこのキムチをまぶしまして、新発売のキムチドーナツといたしますわ。
バカ売れ、間違いなしですわよ、きっと。

レンジの時間がちょっと長いのじゃないかって、お訊ねですわね、
ええ、わたくしもそう思っておりましたところ。
でもたしか、お弁当は三十分は温めなさいって、店長さまからうかがっていたような違うような……

えっ?  せいぜい一、二分だろうって?

わたくしも、おかしいですわねえ、と小首を傾けましてレンジを開けます。

まあっ、お弁当が沸騰して何がなんだかわからない物体に変わっておりますわ!
あら、容器も異様に変形しております!  ラグビーボール?

はい、お待たせいたしました。
大丈夫でございますわ。
元々お弁当にはさまざまな薬品が使用されておりますゆえ、多少原型をとどめておらなくとも、お腹に入れば一緒でございます。
ではご一緒にキムチもこのドーナツ用のパックに入れまして、と。

えっ、  頼むからキムチを混ぜないでくれ?
そのお弁当は代金を支払って引き取るから?

そうおっしゃておられますのかしら。
でもキムチは無料で――はいはい、結構ですのね。承知いたしました。

またのご来店をお待ちいたしております。
ありがとうございました~っ♬』

熱心に働くつばめちゃんでございます。

わたくしは例によりまして、カクヨムさまをチェックです~!

まあっ、拙作「予想外な涼ノ宮兄弟」レビューを頂戴しております。

織田崇滉 先生、
超ご多忙にも関わらず、ご覧くださり誠にありがとうございます!
おっしゃおますように今回のテーマは「対極」でございます。
ちょっぴりでもお楽しみくださいましたでしょうか?
はあ……やはり先生から見られても、純文学では間違ってもございませんわねえ。でもそれはそれで、とすぐに開き直るつばきでございます。
お★さままでいただけて嬉しい♡
心より御礼申し上げます!

夢見るライオン さま、
いつもありがとうございます!
貴重な創作のお時間を削ってご覧くださり、ありがとうございます!
独特のキャラ……まねちゃんとコラボしたら!  だめですわ、あの純粋無垢なまねちゃんが偏執狂に変貌いたします。
悪貨は良貨を駆逐する。って、つばきのキャラは悪貨、でございますのかしら、シクシク……
でもライオンさまからいただけるなんて、嬉しい♡
心より御礼申し上げます!

14件のコメント

  •  墓尾さまがついにここまで(笑)
  • ご旅行にいかれておりますはずの、あっぷるさま?
    まさかの幽体離脱なる秘術まで使われ、つばめちゃんの元へ――

    おほほっ、本編も近況ノートも、もはやお構いなしの無節操さこそがつばきの真骨頂でございますわあ♬
  • つばきお嬢様……かと思ったら、墓尾つばめさんじゃないですかコレー!!
    道理で臭う……いや、香りかぐわしいと思いました!

    兄弟の読切、面白かったですよ!
    対比的なキャラ付けもエピソード盛りも大変よく出来ていて、さすがお嬢様は文才があるなぁと脱帽した次第です。

    一部、純文学の匂いもしたんですけどね(笑)。
    心情描写の箇所がところどころ文豪っぽかったです。
    言ってる内容がアレなのでギャグでしたが(笑)。

    これからもお嬢様の活動を影ながら応援しております!
  • 屋敷前に黒塗りのリムジンが――
    颯爽とご登場くだすったのは、織田先生でございますわね ♪

    お褒めいただくなんて慣れておりませぬゆえ、照れてしまうつばきでございます。「対極」をテーマに挑んだ純文学でございました。フタを開けて一番驚く作者、なんだか漫才でございますわねえ。

    つばめちゃんをご存知ないおかたが、いきなり今回の近況ノートをご覧くだすっても意味不明。それもまた面白きことかな、ですわ。

    応援いただくなんて、とても心強うございます。
    ありがたき幸せ♡
  •  ふ……
     君がデスノ……じゃなくて、近況ノートに文字を刻んだなら、私はラフレシアに群がる蛾……じゃなくて、甘い花の香りに招かれた蝶の如く吸い寄せられ、幽体離脱しても訪れてしまうのだよ……

     それが「つばき力《スタンドパワー》」というヤツだよ。

     しかし、君が刻む文字がいかに魅力的とは言え……
     節操が無い自分を憎まざるを得ない……

     つばきにこれほど惹かれながら、似ているというだけで……つばめさんにも惹かれてしまう……
     なんと愚か者であろうか……

     すまない……
     どうしようもなく男である私を……嗤ってくれ……
  • おはようございまぁす♬

    それほどまでにつばめちゃんを好んでくださるなんて……
    再レビューまでくださっているのは、むろん承知いたしております。
    作者冥利につきますわ♡

    北の大地で夜になると朗々と響き渡る「猟奇なガール」を暗唱する声が聞こえると噂されておりますのは、ま、まさか、あっぷるさまでは?
  • つばっきー、おはよう♪
    いつも小説を読んでくれてありがとう(*╹◡╹*)アリガト
    レンコン小説のハッとしてキュンはないけれど、もう少ししたら「キュ」ぐらいはあるかも(笑)このお話は基本的にファンタジー(&SF)なので後半は雰囲気がガラッと変わります。しばらくフラットなストーリーが続きますが、お付き合いいただけたらうれしいです。

    今日も一日笑顔でいられますように☆彡
  • RAYちゃん、おはようございます!

    色々あると思いますれど、多くのファンが応援旗を掲げて声援を送らせていただいておりますゆえ、どうぞ素敵な小説を紡いでくださいまし♡

    わたくし、声の大きさならどなたにも引けを取らない自信を持っておりますのよ。うふふ。
    「ファイト〜! ガンバRAY〜‼︎」
  • 高尾つばき 様
     おはようございます。わざわざレヴューのお礼にいらっしゃっていただき、ありがとうございます。もったいないことに、近況ノートにお礼をいただいたので、他の所ではなくても構いません。十分です。
     今、小生は読み手側です。ひとまずレヴューやフォローして下さった方の所へ出向き、読んで感じたことを素直に書いていくつもりです。もちろん、誰でもいいわけではないし、義務的にやっていることではありませんので、ご安心ください。
     高尾つばき様は、本当に読んでいて気持ちのいい文章をお書きになられます。これからもお体に気を付けて、大学生活やアルバイト、創作活動など、楽しんで下さい。
  • @imatakeiさま、おはようございます!

    拙作「明日に奏でる草笛の音」は、わたくしの中では異質な作品でございます。言っていますれば、正統派な掌編でございます。
    ゆえに作者といたしましては、とても大好きな物語。それをお褒めくださるのは、本当に嬉しゅうございます。

    わたくしのポリシーといたしまして、レビューやお★さまをくだすったおかたには、必ず新しく近況ノートを立ち上げて御礼を申し上げること。
    むしろ近況ノートに精力を注ぎこんでいると申し上げたほうが、よいかもしれませぬ。

    改めまして、また御礼させてくださいまし。
    ありがとうございます♡
  • おはようございます
    若君最後まで読んでくださってありがとうございます。さらに完結祝いのお言葉までありがとうございます!
    つばきさんには連載中から、うれしいレビューやありがたいお言葉を何度もいただき、たいへん励ましていただきました。その言葉になんど救われたものか…本当にどうもありがとうございます!
    つばきさんの他の作品をまた読みに来ます。
    とにもかくにもありがとうございました。
  • 関川さま〜!
    おはようございま〜す!

    御作、とっても面白く、ワクワクしながらラストに向けてカタルシスを目一杯頂戴いたしました。
    長期連戦はさぞかし大変だったと思いますれど、パーフェクトな名作であると断言いたします。
    ファンのひとりといたしまして、改めましてお疲れさまでした、と、ありがとうございます♡と御礼申し上げます。
  • つばきお姉様

    昨日はライオンは気付くと異世界に飛ばされておりまして、すっかりカクヨム様から遠ざかってしまいましたわ。

    まあ、ライオンのいない間につばめ様がコンビニで働いていらっしゃったなんて! そうと知っていればわたくし、エクレアを百個ばかり買いに行きましたのに。

    そうそう、1個1万円のエクレアを持参しましたわ。
    あら? 賞味期限が切れてますわ。
    なんて事でございましょう。
    まったく、お姉様の新作に気付くのも遅れて愚かなライオンでございます。

    ええ、ええ。お姉様の純文学?と聞けば、このライオン何より一番に読ませて頂きますわ。
    お姉様のお作品にはどれも古き良き純文学の香りが漂っておりますわ。
    それを濃いキャラが颯爽とぶっ壊すのがお姉様のお作品の醍醐味ですわね。

    お姉様のお作品のキャラとまねちゃんのコラボ。
    なんて素敵なのでございましょう。

    まねちゃんの初主演作は「魔陣幻戯」でどうでしょうか。
    タマサブ様を演じきれるのは……おかやんしかいませんわね。
    ああ、彼は野球部でしたわ。

    妄想に浸っている場合ではありませんでした。
    今日こそは穴ぼこだらけのお部屋の工事を進めませんと。
    またお邪魔いたします。
  • まあ、ライオンさま!
    ごきげんよう♡

    ご多忙の中、わざわざお越しくださいまして、ありがとうございます。

    エクレアは多少醗酵し始めたころが美味でございますわ。
    遠慮のう頂戴いたします。

    あら? あらあら?
    そうですわねえ、まねちゃんったら「魔陣幻戯」のみやびと容姿がにておりますわ! しかも、おかやんとタマサブ。これは面白い発見ですわ♬

    わたくしは自分の作品については、語らぬようにしております。
    ただ、こっそりと。
    「魔陣幻戯」は実は第二部でございます。第一部は、江戸時代。
    稀代の妖術使い、児雷也と大蛇丸それに綱手姫なる三人が活躍するあの「怪傑児雷也」をベースに、全く異なるお話になっておりますのよ。
    児雷也は本来殿方なのですれど、わたくしはジーラ・イヤーなる混血の女子をヒロインにしております。
    まあこの物語は発表はいたしませぬので、さわりだけ。

    お部屋の工事、どうぞお気をつけて!
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