♪ ジャンジャンジャン、ジャンジャジャーン、ジャンジャジャーン――
はっ、このスマホから流れ出でる「〇ース・ベイダーのテーマ」は!
〇ーマ法王さまからよ!
「はい、つばきでございます」
「おーう、つばきのぅ、元気ですかぁっ!」
「えーっと、法王さま、それはどなたかのモノマネでいらっしゃいましょうか」
「元気があればぁっ、妖魔もそこのけそこのけ法王が通るってな。
グワッハッハッ~!」
「背後でキャピキャピと、お声が聴こえますれけど……
法王さま、また今夜も尼さまと合コンでいらっしゃるのかしら?
神に仕えし御身、と申しますよりも、世界中に20億人いらっしゃる信者さまたちの、頂点にお立ちになるおかたが合コンなどと」
「んな、かてーこというなよう、つばきのぅ。オレさまだってよう、生身の人間だぜぃ。
たまにゃあ、酒のいっぺーくれえよう、飲ましてくれよう」
「いえ、わたくしは法王さまの御身を心配しておりますゆえ、こうして苦言を、でございますねえ」
「わーかった、わかったってーの。
かーっ、まったくオメーさんはかてーよ、うん、かてえ。
まあ、おめーさんみてーによ、このオレさまに面と向かってご注意くださるありがてえ配下は、このバチカ〇にゃあいねーんだわ。
みーんなオレさまの顔色ばーっかし、うかがいやがってよう。
だからよう、つばきの。オレさまはオメーさんが好きなんだぜい」
「ありがたき幸せ、でございますれど。
それよりも今回のご用向きは、よもや妖魔がまたしても出現でございましょうや」
「いや、ちげーよ」
「はい?
まさか合コンなさっているのを、ご自慢するために国際電話を?」
「さすがにつばちゃんよう、オレさまだって聖職者の端くれだわさ。そんな公私混同はいたしませんわよ~っとくらあ」
「つ、つばちゃん?
あのう、かなりお飲みになっていらっしゃるようでございますわね。
ってか、もう以前より公私混同をパーフェクトになさってらっしゃるように、わたくしお見受けいたしておりますのですれど」
「ゲッヘッヘッ、まあ、いいじゃーんよう。それでだな」
「はいはい、やはり妖魔討伐のご依頼でございますわね」
「いんや、こんけーはよう、違うんだぜい」
「と申されますと?」
「おめーさんも知ってるだろ、エクソシストのよう、クラウスをさ」
「ク、クラウスさまと申しますと、あの、あのクラウスさま、でいらっしゃいましょうか」
「おう、そうだぜ。エクソシストの中でもよう、法王直轄討伐部隊『ナタデ・ココ』のひとり、クラウスよ。
たしか、以前オメーさんと一緒にルーマニアへ吸血鬼を狩りに行ったよなあ」
「あまり思い出しとうもない、記憶のひとつでございますわ、法王さま。
まさか、あのクラウスさまと再び組めと、わたくしに仰せでありましょうか」
「なんだい、急に声のトーンが暗くなったぜ、つばきの」
「い、いえ、そのようなことは」
「んでもってだなあ、今回はよう、妖魔討伐じゃあねーんだわ」
「であれば、いったいどのようなご用向きでいらっしゃいましょう」
「クラウスがよう、ちーとばかし日本に用向きがあってな。おめーさんに案内してもらえねーかと」
「秋の紅葉狩りに、エクソシトが来日されるのでございましょうか」
「ちげーよ、ちげーって。
高野山よ。高野山〇言宗管長からお呼びがあってな。クラウスが出向くことになった、つーこった」
「では、今回はわたくしはただクラウスさまを、高野山までご案内いたせばよろしいのですわね」
「んーっ、そういうこった。
まあ、なにぶん宜しく頼まぁ、つばきの」
こうしてわたくしはクラウスさまをお迎えすることになりましたの。
エクソシストといたしましては、超強力なおかたでいらっしゃいます。『ナタデ・ココ』でも多分ナンバー・ワンの腕前をお持ち。
ただ、ヒトさまとしての常識、モラルが大きく欠落されておりますゆえ、公序良俗のカタマリでございますわたくしといたしましては、できるなら避けて通りたいおかたでございます。
まあ、今回はお出迎えいたしまして、高野山までご案内するのみとのご依頼でございます。
法王さまより、日程等のメールが届きますまで、しばしカクヨムさまをチェックでも。
あっ、拙作「ひねもす漫研、オタクかな」にレビューをば頂戴しておりますわ!
七柱雄一さま、
平素は大変お世話になっております。
この度は未だ新規更新が滞っております拙作をご覧くださり、またレビューまでご丁寧に、誠にありがとうございます!
けして、けしてSFではございませぬ。
あくまでも事実に基づき、脚色は2.2%ほどの私小説でございます。
オタクと呼ばれる民草たちの実態をお伝えしたい、それが本作でございます。
貴重なお時間を頂戴いたしまして、心より御礼申し上げます♡