今日は少し遠出いたしまして、サカエと言う繁華街へ出向いております。
贔屓にしておりますブティックさまから、秋物の新作が入荷したからぜひ、とのご連絡を頂戴いたしましたものですから。
今年のトレンドは七色、レインボーカラーなのね。と、ややサイケデリックな色彩のブラウスなどをいただいて、町の中心街にございますセントラル・パークなる大きな公園で一休み。
夏から、ゆるりと秋へうつろう、そんな良い日でございます。
今日はどこでランチにしましょうかしら、などと公園のベンチにて考えておりますと、ビジネスマンがお二人、コンビニの袋を下げてわたくしの座る横のベンチに腰を下ろされました。
おひとりは、すこーし頭がお寂しい中年の殿方。もうおひとりは、二十歳代半ばのお若い殿方。
どうやら上司、部下なるご関係でしょうか。
「きみも入社して、今回が初めての転勤だったよなあ」
「はあ」
お若いかたは少し口元を尖らせながら、気のないご返事です。
「ぼくはねえ、もう十八回転勤してさあ。それこそ北海道から九州まで、日本全国へ辞令ひとつで飛びまわったんだ」
「はあ、そうですかぁ」
「おや、元気ないなあ。もしかしたら転勤初日のサラメシが、コンビニのお握りだからかい。
他の部署では歓迎をこめて、上司がいい店へ連れて行ってくれるから、かな?」
「い、いえ、別にそういう」
まあ、どうやら図星みたいですわ。
わたくしはそんな転勤などの経験はございませんのですれど、やはり転勤してこられた初日には、上司のおかたが高級なお寿司屋さんだとか、フレンチのお店でご馳走してくださるのでしょうねえ。
それがコンビニのお握りだなんて。
「なぜぼくが転勤が初めてのきみにお握りをご馳走するのか。実はね、理由があるんだよ」
まあ、どんな理由なのでしょう。
「さっきも言ったように、ぼくは十八回転勤した。もちろん転勤した先では、その地元ならではの食材や味付けをされたご馳走を食べるのが楽しみだったよ。海の幸、山の幸、他の地域ではまずお目にかかれないご馳走を食べ続けた」
「はあ」
「ところが、だよ」
「はい?」
「我が社の転勤では、まず一度赴任した地域に再び異動することはない。これは知ってるね。
ということはだよ。一度味わったその地方の料理をだ、二度と口にすることができないことになる」
「でも、旅行とかで行かれたら」
「うん、誰しもそう思うよね。だけど現実問題、そんなにしょっちゅう料理だけを食いに旅行なんてできやしないさ。
しかもだよ。最低一年は赴任先で住まうから、いきつけた美味しい料理を出すお店の数は、両手でも足りないくらいさ。一回の旅行であそこのお店、こっちのお店なんて行けはしないよ」
「確かに、そうですね」
「だろう。一度この舌に染みついた味がね、求めるんだよ。あの味をもう一度ってな。
それも日本国内に渡ってだ。これはね、地獄だよ。禁断症状はね、それこそ本当に、地獄だよ。禁煙、禁酒のほうが楽に見えるよ。
ぼくはね、だから今では転勤しても、その地域の名物料理は食べないようにしている。コワいんだ、禁断症状が。
だから全国どこへ行っても味の変わらない、コンビニのお握りが一番いいんだ。
それをきみに教えたくてさ。
けっしてぼくが昼飯をケチってるわけじゃないってこと。
さあ、食べよう」
お二人は黙々とお握りを食べられます。
どこまで本当なのでしょうか。
それはさておき、帰宅する前にカクヨムさまをチェックです
まあっ、拙作「猟奇なドール」にレビューをいただいておりますわ!
おっぱなさま、
ご覧くださり誠にありがとうございます!
猟奇に免疫がおできに? これで立派な猟奇スト、でございますわね。えっ、一緒にするなと。あい、承知いたしました。
映像化……どなたが演ずるのか、予想するのがコワいわたくしでございます。
心より御礼申し上げます♡
あらっ、拙作「魔陣幻戯~アイドル志望は時給戦士」にもレビューを頂戴しております!
<◎>ひとみ さま、
いつもご贔屓くださいまして、誠にありがとうございます!
16万文字強、原稿用紙換算で400枚強の超ナガイ物語を完読くださった上に、望外なレビューまで。つばきは感激に打ち震えておりまする。
闇の住人になる前の、少年少女の皆さま向けに描いた物語でございます。わたくしの魂を半分削っておりますの。うふふ。
心より御礼申し上げます♡