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御礼~「遭遇・3」

怪人二十面相が今の世に、ましてや我が町内に空き巣に入るなんてことがありうるのでしょか。

「あ、あのう、二十面、相さま」

「ふっふっふ、なんだいあらたまって、明智くん」

「いえいえ、わたくしは、あの名探偵明智小五郎では――」

「もうお互いに正体はバレてるんだからさ。今さら呼び名など意味をなさなくはないかい、明智くん」

「わたくしは、少年探偵団シリーズはてっきり乱歩先生の創造された物語かと思っておりましたわ」

「はっはっは!  あれは平井くんらしかしらぬ描きかたであったなあ」

「ひ、平井と申しますと」

「おや、きみも旧知の間柄だったじゃないか、明智くん。平井太郎くんだよ、筆名江戸川乱歩のさ」

「ではあのポプ○社より発刊されておりますご本は」

「うん。あれはすべて、ノンフィクションさ」

ゲッ!  少年探偵団シリーズはすべて実話でしたのね!

わたくしは目の前にしゃがむ老人、怪人二十面相を、畏怖と尊敬の入り混じった目(注・切れ長二重)で見つめます。

この際、サインでもいただいておこうかしら。

『つばきさまへ  怪人二十面相』

額に入れて、リビングルームの一番目立つ位置へ飾るの。
でも、それを見たお客さまたちはどう反応されるのでしょうか。

どこかのアトラクションで、着ぐるみ(二十面相の着ぐるみって?)から貰ったとか。

どこかのお笑い芸人コンビ、“怪人二十面相” から貰ったとか。

「昔は良かったなあ、明智くん。事件が終わった後、きみとぼく、それに平井くんと三人で朝まで飲んだくれてさ。
そういえば、リンゴのような頬をしていた小林少年は、確か今は老人ホームで余生を過ごしているらしいじゃないか」

「あの少年探偵団の団長さまが、老人ホーム」

「まあ、ぼくなんて幸せなほうだな。所帯を持って、今では曾孫にまで囲まれているからなあ」

二十面相さまは懐かしむように、体操座りの姿勢で夜空を仰がれます。

「あのう、つかぬことをおうかがいいたしますのですが」

「うん、構わんよ。訊きたまえ」

「まずそのお姿でございます。それはわたくしの妖魔退治する際のコスチュームに、かなりお近いのですが……
それと、二十面相ともあろうおかたが、民家へ忍び入ってコソ泥を働くなどとは、ファンが引いてしまいます」

「なんだ、そんなことかい。はっはっは。きみほどの知恵を持った天才探偵でもわからないかね。

まずこの衣装だが、これはぼくが二十面相を名乗って悪事を働き始めたころから、変わっておらんよ」

「ええっ?  ですけど、怪人二十面相さまといえばシルクハットにマント、目元にはマスクをしていらっしゃったではございませんの」

「うふふっ、あれこそは平井くんの作り話さ。この恰好ならいつでも『夜光人間』や『電人M』、『サーカスの怪人』に化けられるからね。
ああ、今着用しているのは孫のお古を拝借しているんだ。さすがにオリジナルはボロボロだから」

なんということでしょう!
わたくしのボディアーマーは、実は怪人二十面相さまのパクリであったなんて。

「それと、この包みだが」

言いながら、ポンポンと背負われていらっしゃる唐草模様の風呂敷包みを叩かれました。

「ぼくはもちろん国宝や、宝石、美術品の類を収集する趣味はあるよ。そかもあらかじめ予告状を送りつけてさ。
でもそれだけじゃあ、きみ。家族を養っていくには無理がある。
ぼくが集めたお宝を、質屋や古買商に売りにいくお話なんて、平井くんは描いていないだろ?」

確かに言われてみますれば、怪人二十面相さまが盗品をこっそり質屋に持っていくなどとは、考えたこともありませぬ。
ってか、考えたくもございません。

「だからさ、生活費を稼ぐためには、こうして地道に仕事しなきゃならないのさ」

なんだかわたくしは怪人二十面相さまなる大泥棒が、急に身近なそこらにいる、チンケな犯罪者に見えて参りましたのでございます。

わたくしも二十面相さまの横へ体操座りいたしまして、カクヨムさまをチェックいたします。覗こうとされる二十面相さまから、隠すように。

まっ、拙作「【閲覧注意】! スペクター・キャプター」にお★さまをいただいているわ!

藤沢正文さま、
初めまして!
猟奇とは真反対のお話でございましたのですが、ご覧くだすって誠にありがとうございます!
地層の奥深くより発掘いただき、いただいたお★さま、わたくしは感無量でございます。

あらっ、拙作「猟奇なガール」にお★さまが!

@Kristenさま、
初めまして!
この度はご多忙な中、拙作をチョイスいただきまして誠にありがとうございます!
お目汚しにはなりませんでしたでしょうか。
心より御礼申し上げます♡

さらに、拙作「明日へ奏でる草笛の音」にお★さまが点灯!

夜宮あいらさま、
初めまして!
ご覧くださったうえ、さらに貴重なお★さまを賜り、つばきは大感激でございます。
ありがとうございます!
とても嬉しい♡

また拙作をご覧くだすった皆さま、御礼申し上げます!

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