今日はお客さまがいらしてますの。
北欧スタイルの高級木製テーブルにはアイスティのグラスが二つ。
お客さまは殿方でいらっしゃいます。
わたくしはソファに身を委ねながら、そのおかたのお話に耳を傾けます。
『僕はその日、高校の同窓会に出席すべく、会場のホテルへ出向いたんだ。
広間には大勢の同級生たちがいてね。立食形式でみんな思い思いに見知った者を見つけては笑いながら歓談していた。
やはり懐かしかったさ。
卒業してからはそれぞれが違う道に、大学進学した者、就職した者、家業を継いだ者、中には早々と結婚しちゃった女子もいたねえ。
その中で、当時一番仲の良かったケンちゃんがさ、僕を見つけて手を振りながらやってきた。
「やあ、久しぶりじゃないか」
「そうだね、何年ぶりかな。また会えて嬉しいよ」
ケンちゃんはすっかり白くなった頭をなでながら、満面笑みを浮かべてくれる。
「きみは、いつまでたっても若いなあ」
「そりゃあそうさ。ケンちゃんはすっかり老けた、いや、年相応になったね」
あの頃の話題に花が咲いたよ。
私はケンちゃんに訊いた。
「もう、慣れたかい?」
彼は目を宙に上げ、それを私に向ける。
「まあね。かれこれ半年になるからさ。そろそろ慣れてきたかな。
ところできみは、どれくらいになるんだったっけ」
私は苦笑しながらケンちゃんに言ったんだ。
「そうだなあ、もう二十年ってところかな」
「そうか、そうだったな。だから若いんだよな」
感慨とも憐れみともとれるケンちゃんのため息。
ご存じのように、人は亡くなると、鬼籍に入った時の年齢のままでいられるからね。
まあ、私も四十代前半のままの姿でこうしていられるのも悪くはないかな、なんて思うようにしているんだ』
冥界アナリストであるわたくしは、こうしてたまにお訪ね下さる霊魂のお話をうかがうのもお仕事のうち、などと思っておりますのよ。
テーブルの上からグラスを持ち上げて、アイスティをいただきます。
もちろんお相手の前に置いたグラスの中味は減りませんわ。
後からわたくしが、いただきますの。うふふ。
さりげなくカクヨムさまをチェック。
まあっ、拙作「猟奇なガール」にレビューをいただいているわ!
越智屋ノマさま、
初めまして!
お忙しい中を、わざわざお目通しくださった上にレビューまで頂戴でき、つばきは大感激ですの。
ありがとうございます!
新たな世界……覗き見程度になさってくださいましね。戻れなくなるやもしれませぬゆえ。
つばきの近況ノートはいつでもどなたにも、ご自由にふるまってくださって結構でございます。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます♡