涼やかな風がカーテンを揺らします。
そろそろ秋の気配が、静かに大気とまじりおうて参りましたわねえ。
わたくしはソファに座りながら、乱歩先生のご本をひもといております。
あら、近くの幼稚園で運動会かしら。
トトロのテーマ曲に合わせて、先生のお声が拡声器から聞こえてきますの。
『はい、みなさーん、今日は町内の老人会からいらしたおじいさまやおばあさまが、一緒になって運動会を盛り上げてくれます。
元気いっぱいがんばりましょう!
最初は年少さんチームと、老人会選抜チームによる玉入れです。
さあ用意はいいかなあ。
音楽が終わるまで、カゴにいっぱい玉を入れましょう。スタート!
はいっ、どっちもガンバレー。
ああ、おじいさま、そちらは年少さんのカゴですよぅ、そうです、そちらに入れて下さーい。
そっちのおじいさま! 玉を観客席に投げつけないで!
ちょ、ちょっと、誰か止めて差し上げて。
おばあさま、その玉は来年も使いますから、手に下げた袋に入れて持って帰らないでくださいねえ。
ダメ! 玉をこっちにぶつけないで! 当たったら痛いから!
そこのおじいさま二人、肩車して入れるのは禁止ですよっ。
おばあさま、アメちゃんで園児を集めないでくださいな!』
なにやら楽しげですわね。
わたくしはご本にシオリをはさんで、首を伸ばします。
『さあ、次は年長さんと老人会との混合チーム、六組によるリレーです。
保護者の皆さまも、大きな声で応援してあげてくださーい。
準備できましたか?
……っと、二組目のおじいさま、それはバトンではありませんよ。
次に使うスプーン運び用のスプーンです。それにピンポン玉を乗せてリレーなさるのは、難易度が一気に上がりますよー。
位置について!
ヨーイ!
ああ、おばあさま、向きが逆ですわよ。
いえ我が道を行くと仰っても、これは競争ですから。
四組目のおじいさま、一言ご注意申し上げます。
隣りの園児の前に足を伸ばして、スタート直後に転ばそうとされる魂胆は、見え見えですよー。
園児たちが人を信じられないまま大人になったら、どうされますの?
それにそのまま踏んづけられて骨折なさっても、幼稚園では責任を負いかねますわよ。
ではもう一度、位置について!
ヨーイッ、スタート!
速い速い、みんなガンバってーッ
ちょ、ちょっと誰か、あのラインをはみ出して直進されていくおじいさまを止めて差し上げて!
ああっ、正門を越えて走って行っちゃたわ……
はい、その他の組はここで、ほぼ横並びでバトンを第二走者に渡しました。
おばあさま、おばーさま! もうバトンをお放しになって結構ですよっ。一緒に走らなくていいですから!』
先生のお声が段々ヒートアップなさっていくわ。
さぞかし微笑ましい運動会なのでしょうねえ。
アイスティに浮ぶ氷をストローでかき回しながら、カクヨムさまをチェックいたします。
あらっ、拙作「猟奇なドール」にレビューとお★さまが!
関川 二尋さま、
初めまして!
猟奇な物語を二作連続でお読みくださったとのこと、誠にありがとうございます!
わたくしはとても嬉しいのですが、最低六時間ほどあけてご覧いただかないと、お身体にさわりますわ。闇の物語ゆえ。
奇跡のような、などと拙作には勿体のうございます。
でも嬉しい♡
猟奇ストつばき、今後ともよろしくお願い申し上げます!
みーしゃさま、
この度は貴重なお時間を費やしてご覧くださり、誠にありがとうございます!
お★さまをくださって、わたくしは大層パワーを得させていただきましたの。
今後とも……
あらっ、あらあらっ!
ええーっ、拙作「トリック・トリップ 無限大」にレビューが!!!!
取り乱しまして、あい済みませぬ。
少年少女の皆さまへと紡ぎだしたる、ものすごく健全な、猟奇のりょの字も見当たらないお話でございますれど、遥か太古の地層に埋没されて幾星霜。
もしや、みーしゃさまは考古学者でいらしたのかしら。
望外なるレビューに驚きを隠せぬ我が心、もうあの頃へは戻るまいと固く決心しておりますのですが、とっても、とっても嬉しい♡
みーしゃさま、心より御礼申し上げます。
いつの日にかまた夢物語を紡ぎました折には、ぜひともよろしくお願い申し上げます!