わたくし、実はたまに煙草を嗜むことがございましたの。
二十歳を過ぎたころから数年間、ヘビースモーカーではございませんでしたけど。
ある日、馴染みのデパートから夏物が入荷したからと連絡があり、いそいそと出掛けました。
数点ほど気に入ったインナーとパンツを購入いたしまして、隅に設置された喫煙ルームへ参りましたのよ。
狭いお部屋の中には、身なりのしっかりされたおじいさまが椅子に腰を下ろして、煙草を吸っておられました。
わたくしは細巻きのメンソール煙草をバッグから取り出しまして、カルティエのライターで火を付けます。
さりげなく、おじいさまに目を向けましたの。
おじいさまは、美味しそうに紫煙を鼻からくゆらせておられます。
あらっ?
ちょっと待って。
おじいさま、煙をふーっと吐き出されておられるのですが、両手はきっちり膝の上に置かれております。
煙草はおくわえになってらっしゃらない?
えーっと、煙草はいずこ?
呼吸をなさるように、紫煙を鼻や口元から吹いていらっしゃるのに、どこにも肝心の煙草がございませんの!
お身体の中からまるで手品師のごとく、煙を噴出されている?
長年煙草を吸われると、もはや煙草なしでも煙が湧いてでるのかしら……
わたくしはコワくなり、持っておりました煙草をもみ消し、すぐさま禁煙室を飛び出ました。
それ以来、わたくしはすっぱり煙草をやめましたの。
だって、満員電車の中で、我知らず煙を吐き出しましたら、みなさまにご迷惑ですものね。
今は禁煙◯◯ポなるものを、口が淋しい時にはまとめて十本ほど咥えるようにようにしております。うふふ。
あら、◯の位置を少々間違えたかしら?
いやですわ、あまりお下品な文字を当てはめないで下さいまし。
さあ、カクヨムさまをチェックです。
あらっ、禁煙の禁断症状かしら、拙作「猟奇なドール」にレビューが!
崎山陽咲さま、
今回も貴重なお時間を費やしていただきまして、ありがとうございます!
ものすごく嬉しい♡
心より御礼申し上げます。